散歩の二百九十八話 お仕置きタイム
さて辺境伯邸に着いたのは良いのだが、玄関ホールから何やらとんでもない威圧感が感じられる。
僕だけでなく辺境伯様を除いた全員が、玄関に入るのを一瞬躊躇いました。
そして、僕達の判断は間違いありませんでした。
「おーい、帰った……ぶべら!」
屋敷に入った辺境伯様が、突然悶絶した声を上げながら庭まで吹き飛んで行きました。
そして、威圧感を隠さない人物が屋敷の中から出てきました。
身長はスー位で金髪のボブカット、一見するととっても華奢な人族の女性です。
あと、胸はとても大きいです。
女性の表情はにこやかなのに更にとんでもない威圧感を発していて、シロとフランとホルンが思わず僕に抱きついてきました。
「あなた、一人で現場に行くなと何回も申し上げましたわよね?」
「エミリア、これは違うんだ。不法侵入の疑いで急ぎだったんだ」
「ふーん、急ぎでも馬車で行く事は出来ますよね?」
「「「あわわわ……」」」
あかん、これはあかん。
辺境伯様は腰をついて大汗をかきながら、エミリアと呼ばれた女性の気迫に完全にのまれています。
シロ達も女性の気迫にのまれてぶるぶるしているけど、僕だって二人を止める事は出来ないよ。
すっ。
「あがががが!」
「あなたには、少しお仕置きが必要ですね」
いつの間にか辺境伯様はうつ伏せにされていて、女性が辺境伯様にキャメルクラッチを決めています。
辺境伯様の方が圧倒的に体が大きいのに、女性になすがままにされています。
そして、更に女性が体勢を変えました。
「ぐふ、ぶふー!」
「今回はきっちりと反省して貰いますわよ」
女性のフロントチョークが辺境伯様にがっちりと決まっていて、辺境伯様が苦しそうに何回もタップをするのに女性は技を解こうとしません。
「ぐふう……」
そして、辺境伯様は完全におちてしまいました。
この間、僅か二分。
この女性、一体何者なんだろうか?
こうも辺境伯様をあっさりと絞め落とすなんて、只者じゃないぞ。
シロ達とアオはのびてしまった辺境伯様を見てがくがくぶるぶるとしているけど、それほど鮮やかな絞め技だった。
と、一仕事を終えて汗を拭っていた女性が、スー達の存在に気が付いたみたいです。
「あら、スーじゃない。それにケーシーとテルマもお久しぶりね」
「「「エミリア様、お久しぶりです……」」」
どうもスー達はこの女性と知り合いみたいだけど、目の前で行われた惨劇に完全に顔が引きつっていました。
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