散歩の二百九十六話 これからの予定
僕達に捕まった冒険者への当面の対応を伝えると、辺境伯様は懐からタブレットみたいな魔導具を取り出してポチポチと打ち始めました。
大きな指なのに、器用に扱うなあ。
「これでよし、っと。スー、こっちに来て内容を見てくれるか?」
辺境伯様はスーを呼び寄せると、タブレットの中を確認させていました。
東の辺境伯様もスーにタブレットの確認をさせていましたが、一体何を確認しているのでしょうか?
すると、スーはタブレットをポチポチと動かし始めました。
「これでどうでしょうか?」
「ははは、こりゃいいや。この内容で早速連絡しよう」
スーが動かしたタブレットの内容に、西の辺境伯様が高笑いをしていました。
西の辺境伯様はとても満足した表情で、タブレットを操作しています。
すると、直ぐにタブレットに連絡が入ったみたいです。
西の辺境伯様もスーも、満足した表情に変わりました。
「今、王城に今回の件の連絡をした。貴族子弟による不法侵入ってのもあるので、軍が奴の引き取りをするそうだ。更にはカスアク伯爵を直接呼び出して注意すると共に、お前ら二人の家にちょっかいを出すなと釘をさすそうだ。暫く兵もつけてくれるってよ」
「辺境伯様、こちらがご迷惑をかけたのに本当にありがとうございます」
「家族の事まで気にして頂き、感謝いたします」
「おう、この位は領主の仕事として当然の事だ」
「「「かっこいー!」」」
辺境伯様がドヤ顔で話をしたけど、個人的にはスーがどんな内容を付け加えたかが気になるな。
そして、今度はギルドマスターが僕達に話しかけました。
「ケーシーとテルマは、暫くシュン達から冒険者について色々教えて貰え。僅か数か月でDランクまで上り詰めた上に称号三つ持ちだ」
この辺りは、たぶんこうなるんじゃないかなって思っていたんだよね。
何よりケーシーさんとテルマさんはスーの知り合いだし、スーも放置は出来ないだろうね。
僕とスーもギルドマスターの話を聞いて、こくりと頷きました。
「後は、宿か。って、どうせ辺境伯邸に泊まらせるつもりだろう?」
「ははは、良く分かったな。流石は腐れ縁だ。二人の保護の意味合いもあるが、個人的にはシュン達の強さにも興味がある」
あの、ギルドマスターと辺境伯様がなにやら不穏な話をしているのですが。
宿の事もそうだけど、絶対に僕達と辺境伯様の手合わせが発生するイベントが目に見えているのですが。
そして、シロがケーシーさんとテルマさんにとんでもない事を話し始めました。
「あのね、辺境伯様のお屋敷に行くと美味しい料理が食べられるんだよ」
「「えっ!」」
「シロよ、何回も言うが辺境伯様の屋敷に行く度に食事の事を話するな」
「えー」
シロは不満を口にするけど、辺境伯様の前で食事の話をするな。
「ははは、それでは我が家も他家に負けない食事を用意する必要があるな」
「「「やったー!」」」
ほら、辺境伯様もやる気になっちゃったじゃないですか。
スーも思わず苦笑しているよ。
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