散歩の二百七十七話 海が見えたよ

 辺境伯領内は、相変わらず全く問題なく進んでいきます。

 たまにウルフとかが出るレベルで、アオが秒で倒していました。


「ここからはお隣の子爵領に入ります。この先は、海沿いの街道を進みますよ」

「「「海!」」」


 いよいよ、辺境伯領からお隣の子爵領に入ります。

 海が見えてくるとあって、シロ達のテンションが上がってきました。

 そして、少しずつ進んで行くと鼻のいいシロとフランが何かに気が付きました。


「あっ、海の匂いがしてきたよ!」

「何だか変な匂いだね」


 風に乗って、潮の匂いがしてきたみたいです。

 フランは、初めての匂いに少し戸惑っていました。

 僕達にも潮の匂いに気がついてきた頃、目の前に雄大な光景が広がりました。


「おっ、見えたな」

「やはり海は大きいですね」

「海だ!」

「「すごーい! 大きいー!」


 初めて見る海に、フランとホルンは大興奮です。

 スーも海を見て、何だか懐かしそうな表情をしています。


「この先の子爵領の街に馬車は止まりますよ」

「「「はーい」」」


 馬車は海沿いの街に到着しました。

 先ずは宿を確保してから、市場に向かいましょうということにしました。

 観光客が多いので、街には沢山の宿が並んでいました。

 中級クラスの宿にしようということで、街の人にお勧めの宿を聞きながら無事に宿を二部屋確保出来ました。

 今回は二泊三日の予定で、明日は一日海で遊ぶ予定です。


「じゃあ、最初に水着を買いましょうね」

「「「はーい!」」」


 海に行くならとの事なので、早速地元の服屋に向かいます。

 男性用の水着なんてサイズが合えば良いので、僕はあっという間に買い物終了です。


「「「じゃーん、似合う?」」」

「うん、とても良く似合っているよ」

「「「えへへ」」」


 シロ達も、髪の色に合わせたフリルがたくさん付いたビキニを選んでいました。

 胸はチューブトップタイプだけどね。

 元気いっぱいなシロ達にあっていて、中々良い選択です。

 さてさて、スーの水着選びが終わりませんが、大丈夫なのでしょうか?


「お、お待たせしました……」

「「「可愛い!」」」


 うん、何だ、その。

 スーが選んだ水着は、貧乳もカバーできるピンクのワンピースタイプの水着でした。

 でも、ちょっとハイレグ気味なのを選んでいないかい?

 まあ、スーが選んだのだから、僕からはどうこう言わないけどね。

 他にも、浮き輪っぽいものも買って準備万端です。

 お次は市場を回って行くのだが、ここでちょっとした問題が。


「変なのがいるよ!」

「足がいっぱいだよ!」


 市場で売られていたイカとタコを見て、フランとホルンはビックリしていました。

 湖で釣りをした時は、魚しかいなかったもんね。


「イカとタコだね。料理すると美味しいんだよ」

「なら、タコ焼きが食べたいな!」

「うーん、たこ焼き用の鉄板があれば作れるけどね」


 折角なので、イカとタコを何個か購入します。

 でも、丸く凹んだ鉄板なんてどこにも売っていないよなあ。

 と、ここでアオが僕の事をちょんちょんと触手で突っついてきました。


「鉄板を自分で加工すればできるって、シュンお兄ちゃんならできるよ」

「確かにできるかもしれないけど」


 鉄板を加工するのが面倒くさいと思っていたら、ここで食いしん坊達が声を上げてきました。


「私、そのたこ焼きって物を食べてみたいです」

「フランも」

「ホルンも」


 三人が元気よく手を上げてきたので、僕はたこ焼き用の鉄板を作らざるを得なくなりました。

 時間があったら作るという事で、食いしん坊達には了解してもらいました。

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