散歩の二百七十六話 久々の旅の始まりです

 朝早くに北の辺境伯領を馬車に乗って出発した僕達は、盆地を囲む山を抜けて平坦な平原の道に出ていました。


「「「「くーくー」」」」


 朝早いのもあったので、スーも含めた女性陣がすやすやと眠ってしまいました。

 今日は少し暑いけど、風が程よく吹いていて気持ちいいですね。


「この馬車便は朝早いから、子どもなんかはよく寝ちまうんだよな。途中で休憩するから、そこまでは寝かせてあげな」


 御者のおじさんの言う通り、他の乗客も何人かスヤスヤと眠っていた。

 でも、子どもは分かるけどスーも寝ちゃってるよ。

 まあ、こればかりはしょうがないかなと思いつつ、僕は馬車からの景色を眺めていました。


「さあ、ここで一旦休憩だ。昼食もここで食べるぞ」

「「「はーい」」」


 僕達を乗せた馬車は小さな村に到着し、全員が馬車から降りました。

 御者のおじさんは早速馬車と馬の手入れを始めたので、僕達は村にある小さな食堂で昼食にします。


「はい、できたよ。いっぱい食べるんだよ」

「「「おおー!」」」


 大皿に豪快に盛られたパスタとお肉の山を見て、シロ達は目を輝かせています。

 スーが皆の分を取り分けて、昼食を食べ進めます。


「お兄ちゃん、今日はどこに泊まるの?」

「確か、辺境伯領にある村に泊まる予定だよ。宿は複数あるって聞いたから、皆で同じ宿に泊まるよ」

「そーなんだ」


 パスタとお肉を食べてすっかり元気になったシロが、今日の宿の予定を聞いてきました。

 辺境伯領にいる間は宿も充実しているそうで、泊まるのは全然問題ないそうです。

 この辺の宿泊施設の充実度は、他の辺境伯領でも一緒ですね。

 という事で、僕達は再び馬車に乗って今日の目的地に向かいます。


「「「「すーすー」」」」


 そして、昼食を食べてお腹いっぱいになったので、またもや睡眠タイムの女性陣です。

 三時くらいには起きたけど、景色を見るのも旅の醍醐味じゃないかな?

 その為に、クッションも新調したんだし。

 そんな事を思いながら、馬車は村に到着します。


「さて、じゃあ今日の宿を探すよ」

「「「おー!」」」


 僕の掛け声に、シロ達はアオと一緒になって手を上げています。

 辺境伯領なら変な宿はないと思いつつ、比較的大きな宿をチョイスします。


「はい、二部屋ですね。鍵はチェックアウトの際に返して下さい」

「「「ありがとー」」」


 運良く二部屋押さえられたので、僕の横でシロ達が誰と寝るかを決めていました。

 幸先良い旅の滑り出しに、僕とスーはニンマリとしていました。

 久々に旅って感じで、良いなって思っています。

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