散歩の二百三十三話 屋台が倍の広さに
朝食前の訓練も無事に終了し、僕達は朝食を食べて広場に向かいます。
今日も僕は屋台でひたすら料理を作る予定です。
シルビアさんも、屋台を手伝ってくれます。
「シルビアさんも、特に私の事を気にしなくて良いわよ」
「は、はい。その、ありがとうございます」
朝の訓練の事をスーに伝えておき、直ぐにシルビアさんに説明してくれた。
まだたどたどしいけど、直ぐに落ち着くでしょう。
「うわあ、人がいっぱいだ」
「昨日よりも多いね」
「ざわざわしているよ」
広場には、朝から予選よりも多い人が集まっていた。
多くの人が本戦を楽しみにしていたんだろう。
先ずは広場に行って、受付に行きます。
「「「おはよーございます」」」
「はい、おはようございます。アオさんはこれで受付完了ですね」
「「「ありがとうございます!」」」
シロ達も元気に受付の人に挨拶をして、アオも触手をふりふりしています。
早速受付が終わったので、この後のスケジュールを確認しよう。
「この後のスケジュールはどうなりますか?」
「辺境伯様の挨拶の後、組み合わせ抽選が行われます。九時より開会式を行いますので、その前までに集まって頂ければ大丈夫です」
「ありがとうございます。では、屋台の準備をそれまでに終わらせます」
「人気の屋台ですよね。先ほど、屋台の拡張をしているのを見ましたので頑張ってくださいね」
「えっ?」
受付の人に屋台が拡張していると聞いたので、思わず皆で振り返ってしまった。
すると、何故か屋台が倍の大きさになっていた。
流石にこの話は聞いていなかったので、僕達は屋台に向かいます。
「あ、皆様おはようございます」
「「「おはよーございます」」」
屋台に着くと、早速侍従の責任者が迎えてくれました。
シロ達も元気よく挨拶をしているのだが、先ずは屋台が大きくなった理由を聞かないと。
「実は、元々本戦はこの大きさになる予定でした。急遽予選が行われて、屋台の仮配置があったのです」
「そ、そうなんですね」
「ご安心ください。元々侍従も多く配置されますし、食材も沢山用意しております」
つまりは、本来はこの屋台の大きさだったという事です。
とはいえ、屋台が大きくなると客も沢山来るのではないでしょうか?
「因みに、例年の客足ですと売り上げは予選の倍になるかと思われます」
そしてまさかの客足倍増は確定だと、にこりと言われてしまいました。
おお、今日を乗り切る事ができるだろうか?
「じゃ、じゃあ、シュンさん頑張って下さいね」
「頑張ってね」
そして、スーとホルンは救護テントに向かって行きました。
スーが苦笑する理由も分かるけど、流石に僕もきついと思いますよ。
何はともあれ、仕込み始めないと。
こうして僕達は、ひたすら食材を準備して行きました。
「おお、あのスライムか。今日も頑張れよ」
「どんな戦いになるか楽しみだな」
時折、お客がアオに向けて声をかけて行きます。
アオも仕込みをしながら、触手をふりふりとしていきます。
「アオさんって、料理も魔法を使うんですね」
「魔法の細かな制御の役にはたっているようですよ」
「良く分かります。風魔法で切った野菜が、全て均一の大きさですね」
アオも凄いけど、シルビアさんもその内に魔法で料理が出来る様になりますよ。
こうして、僕達は開会式までの間に出来る限りの仕込みをしていきます。
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