散歩の二百二十三話 武道大会予選二日目

 武道大会予選二日目、僕達は第一試合なので昨日に引き続いて早めに屋敷を出発します。

 天気も晴れているし、申し分のない陽気です。


「よお、昨日のスライムか」

「今日は第一試合だってな」

「頑張れよ」


 広場に着くと、屋台にも来たおっちゃんが挨拶してきました。

 アオも触手をふりふりして、おっちゃんに返事をしています。

 さて、屋台の開始はアオの試合後だけど仕込みだけはしておきましょう。

 先に看板を出しておいて、その間に野菜を切ったりしていきます。

 スーとホルンは、救護テントに行っています。

 早速治療を受けにいった人がいたけど、ふらふらしている様子を見てもあのおっちゃんは二日酔いだな。


「シュン様、お待たせしました」

「我々も仕込みを行います」

「大勢で来てくれたんですね。助かります」


 今日は予定通り侍従も沢山来てくれたので、急いで仕込みをしていきます。

 昨日の事を考えると、多めに準備した方が良いでしょう。

 サンドイッチ系はまだパンが届いていないので、先におにぎりを握っていきます。

 

「シュン様、そろそろお時間です」

「ありがとうございます。一緒に来る方がいればついて来てください」

「ご配慮有難う御座います」


 ある程度仕込みを終えた所で、侍従の責任者から声がかかった。

 看板をだしてあるので商品を購入する人はいなかったけど、アオに向けて頑張れって声をかける人は多かったなあ。

 シロ達の他に侍従を三人引き連れて、救護テントに向かいます。


「あの、迷惑です」

「ねーちゃんよ、仕事の事は良いから俺達と遊びに行かないか?」

「だから、迷惑です」

「楽しい遊びをしようじゃねーか。げへへ」

「いい加減にして下さい!」


 ズドーン!


「「ぎゃー!」」

「全く、もう。しつこいんだから」


 救護テントから、中年男性が魔法で吹っ飛ばされていた。

 魔法を放ったのは、どうもスーの様だ。

 スーも、最初にあった時の様なおどおどした感じが少なくなってきたなあ。

 吹き飛ばされた中年男性は、警備をしていた兵によって連行されていった。 


「こんな所でナンパするのがいるんだな」

「救護テントを、出会いの場か何かと勘違いしているのでしょうね。他の治療班の人にも声をかけている人もいましたよ」


 ぷりぷりしたスーが救護テントから出てきた。

 この反応を見る限り、他にも救護テントでナンパしてきた馬鹿がいた様だ。

 しかも今なんて、まだ試合開始もしていない朝っぱらなんですけど。


「警備は我々の方で行います。ご安心下さい」

「すみませんが、よろしくお願いします」


 という事で、あえてガチムチで屈強な兵が救護テントの警備をしてくれる事に。

 これでも、酔っ払いなどは兵を無視して声をかけてきそうだ。

 その際には、救護テントではなく屈強な兵との楽しいデートが待っていそうです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る