散歩の二百十三話 武道大会は予選も行うことに

 武道大会が近くなったので、エントリーを確認する為に会場となる広場に向かうことにしました。

 流石にフィーナさんは連れていけないので、屋敷でお留守番してもらいます。

 フィーナさんは僕達と一緒に行きたいと漏らしていましたが、身の安全の為についていけない事も分かっていたのでアーサーちゃんの側にいると言っていました。

 後でお土産でも買って帰ろう。

 そんな事を思いながら、僕達は広場に到着です。


「うわー、人がいっぱいだね」

「いっぱい並んでいるよ」

「いっぱい、いっぱいだね」


 広場についてびっくり。

 僕達がエントリーをした時に比べて、遥かに人が多いのです。

 買い物客もいっぱいだし、兵も多めに歩いています。

 確かにこの賑わいの中をフィーナさんが歩くのは、誘拐や何かの危険も増えるから駄目だろうなあ。

 そして、僕達は広場にあるエントリーブースに向かいます。


「うーん、そこまで人は並んでいない様に見えるね」

「実際にはどうなんでしょうか?」


 武道大会のエントリーブースには、数人しか並んでいなかった。

 どこまでエントリーが進んでいるか、聞いてみないと分からないなあ。

 という事で、早速受付の人にエントリーがどのくらいあるかを聞いてみよう。

 ちょうど僕達がエントリーした時の人がいるぞ。


「あの、すいません」

「はい。あ、貴方はスライムと一緒にいた人だ。ちょうど連絡を取る所だったんですよ」


 おや?

 受付の人がタイミングが良かったと言っているけど、何かあったのかな?


「実は本戦は十六組なんですが、今回エントリー数がとても多くて。その為に予選を二回戦って貰わなければならないのです」

「えーっと、六十人以上がエントリーしているのですか?」

「予選一回の人もいるのですが、大体そのくらい見てもらえば良いかと。例年の倍の人数が集まっています」


 賞金を増額した影響もあるのだろうが、予選を二回も行わないとならないのか。


「アオは大丈夫だって」

「やってやるって」

「受けて立つって」

「おお、それは助かります」


 アオはというと、滅茶苦茶やる気になっていました。

 シロに抱かれたまま触手をファイティングポーズの様に構えて、シュッシュッとパンチを繰り出していた。

 受付の人も、ホッとしています。


「予選は本戦の二日前より行います。前日にも予選があるので、宜しくお願いします。集合時間は本戦と同じになります」

「分かりました。宜しくお願いします」


 本当はエントリー数を確認するだけだったけど、確認に来て良かった。

 本戦の二日前から戦う事になるけど、アオもやる気だし大丈夫だろう。

 僕達は、ピーチパイとベリーパイを買って屋敷に戻りました。


「私も先程予選の件は聞いたぞ。まあ、予選は息子と娘に任せるので、私は本戦からだがな」

「私も頑張ってお手伝いするよ」


 屋敷に戻って辺境伯家の皆さんに報告すると、既に予選の事は伝わっていた。

 辺境伯様は箔をつける為に本戦かららしいので、ここはフィーナさんとお兄さんに頑張って貰おう。


「私も予選からお手伝いしますよ」

「奥様もお手伝いされるんですか?」

「そうですわよ」

「お母様は凄いんだよ。楽しみにしていてね」


 この言い方だと、本番まで楽しみにしていてねって感じだな。

 辺境伯様が苦笑しているから、きっと何かあるんだろう。

 と、ここで辺境伯様から僕達にお願いが。


「大会三日前に辺境伯家としての会場準備がある。妻とフィーナも行くのだが、シュン達にも参加して欲しい」

「分かりました。大会前は予定を入れていませんので」

「頼むな」


 きっと辺境伯夫人様とフィーナさんの護衛も兼ねて、僕達に話をしたんだろう。

 こうして大会前の予定も決まったので、後は皆で頑張らないと。

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