散歩の二百十二話 辺境伯兵への治療
武道大会が近づくと、外からやってくる人も増えるのでいざこざも増えてきます。
その結果、兵も怪我人が多くなりました。
どうも、ガラの悪い人が増えている様です。
という事で、今日僕達は辺境伯兵の施設に行って、怪我人の治療を行います。
「フィーナ様、わざわざすまないな」
「いえいえ、皆さんのお陰で街の人も平和に暮らせているのですよ」
「そう言って貰うとありがたいぜ」
ここでもフィーナさんは大活躍です。
元々兵への慰問も行っていたらしいけど、今度は治療までしてくれるのだから兵としては嬉しいだろう。
しかも、フィーナさんは兵の事も気遣ってくれます。
兵もやる気が出てきますね。
そして、ちょっと気になった事が。
「獣人の方もかなりいるんですね」
「辺境伯兵は強さも求められる。それに、辺境伯様はキチンとする奴なら誰でも受け入れてくれるんだぞ」
「手当もキチンと支給されるし、こうして定期的に怪我人の治療もしてくれる。だからこそ、俺達は街の為に頑張らないとならないんだ」
辺境伯様が良い対策をしているので、人種に関係なく優秀であれば誰でも受け入れているんだ。
だからこそ、辺境伯兵は一生懸命に仕事をするんだね。
すると、今度は兵から僕に質問が。
「あんちゃん達はかなり強そうだけど、武道大会に参加するのかい?」
「実は僕達は称号持ちなので、規定で武道大会に参加できないんですよ」
「あー、そっか。確かそんな事があったな。うちらも、ある階級以上は武道大会に参加できないんだぞ」
「そうなんですね。兵にも参加基準があるんですね」
「武道大会に参加する兵は、主に若手が多い。俺なんかは、もう参加しないがな」
兵にも武道大会に参加できる基準があったのか。
でも、偉い兵なんかは、武道大会中は別の意味で忙しそうだけどね。
「因みに、僕達の中で参加するのは、フィーナさんのスライムのパールに魔法を教えているアオというスライムです」
「ああ、あのスライムか。ありゃ強いな。なんというか、スライムなのに風格があるぞ」
「えっ、アオの強さが分かるのですか?」
「真面目に鍛えている奴なら分かるだろう。今だって、フィーナ様の周囲をさり気なく監視しているぞ」
確かに今のアオは、フィーナさんの側でパールに魔法を教えつつ、時々周囲を見渡しています。
兵は周囲の人をよく観察して怪しい人を見つけるから、こういう洞察力が優れているんだな。
さてさて、他の人はというと色々な怪我に対応していました。
「膝だけでなく、腰や背中も良くないですよ」
「おお、分かってしまったか」
「怪我をしない体作りもしないとなりませんね」
スーは怪我を治しつつ、アドバイスもしています。
今まで沢山の人を治療してきたから、何となく分かるんだろうね。
「かたを治したよ。あと、お腹も良くないよ」
「ああ、少し食べすぎたからな。胃もたれもしていたんだよ」
「えー、食べ過ぎは良くないよ」
「ははは、こりゃ一本取られたな」
ホルンも兵の怪我を治していますが、同時に食生活にも注意していました。
兵も心当たりがあるので、幼いホルンの指摘に笑いながら答えていました。
「これはここで良い?」
「ああ、良いぞ」
「じゃあ、これも運ぶね」
回復魔法が使えないシロとフランは、兵の施設の片付けをしています。
二人共力持ちなので、いっぺんに何個もの武器を運んでいました。
こんな感じで、順調に治療は進んでいきました。
「フィーナ様、本日は本当にありがとうございました。お陰で、多くの兵がより一層活動できる様になりました」
「いえいえ、私も出来る限りの事をしただけですわ。これも皆さんが普段から頑張ってくれているからです」
「ご配慮ありがとうございます」
兵の偉い人も、予想以上に怪我人の手当がデキたのでとても喜んでいました。
フィーナさんの言う通り、兵が日頃から頑張っているから僕達も出来る限りの事をしただけだもんね。
こうして、兵の施設での治療も無事に完了しました。
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