散歩の二百十一話 病院でのお手伝い
そして武道大会も段々と近くなってきたので、僕達は街での冒険者活動を控えめにして兵への治療や病院での治療をメインにする様にしました。
段々と街の中に領都に住んでいない人が増えてきたので、フィーナさんの安全を考えてです。
しかも街に出る際は、フィーナさんは必ず馬車に乗ることになりました。
街の人と仲良しのフィーナさんは、おしゃべりが出来なくて流石に少しつまらなそうですけどね。
「「「「こんにちは」」」」
「フィーナ様、皆様、お待ちしておりました」
今日は皆で病院に行って、怪我人や病院の治療を行います。
馬車に乗って病院に到着すると、職員が出迎えてくれました。
僕達は早速手分けして治療を行う事に。
「じゃあ、シロ達はスーとフィーナさんと一緒に軽傷者の治療をお願いね。僕とホルンは、重傷者の治療を行うよ」
「「「はーい」」」
「ホルンも頑張ってね」
「うん、頑張る」
役割分担も決まったので、僕はホルンを連れて重傷者の多い病棟に向かいます。
ホルンも拳を握りしめてやる気満々です。
きらーん。
「どうですか?」
「おお、凄く良くなったよ。お嬢ちゃん、ありがとうね」
「良かった」
ホルンが、足を骨折している人に回復魔法をかけていきます。
日々の訓練の成果が出ていて、ホルンの魔法も中々の威力になっています。
ホルンも、足が良くなったおじさんに頭をナデナデして貰っていました。
「いやあ、小さいのに素晴らしい魔法使いですね」
「ホルンも毎日頑張って訓練していますから」
一緒に付いてくれている職員も、ホルンの魔法を褒めています。
僕からするとまだまだなんだけど、その内にホルンは僕を超える治癒魔法使いになるだろうね。
「この方は複数の怪我がありまして」
「分かりました。ちょっと拝見します」
「お願いします」
次は腰と膝が悪いお婆さんだったけど、念の為に他にも悪い所がないか確認します。
お婆さんの肩に手を置いて、軽く魔力を流します。
おや?
内蔵にも悪い所がありそうだぞ。
「ホルン、こっちに来て魔力を軽く流してみて」
「あっ、お腹にもなんか淀みがあるよ」
「そう、当たりだね。だから、悪い淀みを治すイメージで回復魔法を使ってみて」
「うん、やってみる」
ホルンを呼び寄せてお婆さんの容態を確認させると、直ぐに僕と同じイメージを共有出来た様です。
そのままホルンに、回復魔法をかけてもらいます。
ぴかー。
「おや、お腹もだいぶ良くなったわ」
「これで大丈夫だよ」
ホルンもイメージ通りに治療が出来た様です。
念の為に、僕がホルンに代わってもう一度お婆さんの体の様子を確認します。
「うん、大丈夫だね。ホルンも良くできたよ」
「えへへ」
「あら、お兄ちゃんに褒められて良いわね。小さな魔法使いさん、ありがとうね」
「うん」
僕とお婆さんに褒められて、ホルンも満面の笑みです。
回復魔法は上手く使うと魔力の節約もできるので、この辺のテクニックもホルンに教えないといけませんね。
「ありがとうございます。お陰様で、重傷者の治療は終わりました」
「僕達は軽傷者の方に行きますね」
「では、軽傷者の方へご案内します」
二時間かけて、重傷者の治療は終わりです。
僕がホルンに付きっきりで教えていたので、ホルンも治療前の事前チェックがだいぶ出来る様になりました。
僕達は、そのまま軽傷者の方へ向かいます。
ぴかー。
「お加減はどうですか?」
「すっかり良くなりました。フィーナ様のスライムは優秀ですね」
「ありがとうございます」
軽傷者の方では、パールが大活躍していました。
アオが側について、パールに魔法の使い方を教えていました。
そして、フィーナさんも治療した人に褒められていました。
「上手くやっている様だね」
「あっ、シュンお兄ちゃんだ」
「フランも頑張ってるよ」
「そうか」
「「えへへ」」
僕が声をかけると、シロとフランが振り返ってきました。
二人も列の整理とかを頑張っているようで、僕は二人の頭をナデナデしてあげました。
「こちらも、もうそろそろ終わります」
「そうか、それは良かった。重傷者は全て終わったよ」
スーも僕に話しかけてくるけど、確かに列に並んでいる人は少ない。
僕も治療に加わって、終わらせてしまおう。
それにしても、フィーナさんの人気は凄いなあ。
「フィーナは、どんな人にもにこやかに対応していましたよ。お陰で、フィーナの人気は更に高まりました」
「元からある人気に加えて、スライムを従えて治療までしているからね。辺境伯家にとっても、良い事だね」
こうして、無事に病院での治療は終わりました。
辺境伯家の令嬢が自ら治療の手助けをしたとあって、フィーナさんの人気は更に増しました。
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