散歩の二百十話 街の人からのお祝いの言葉

 昼食後は予定通りに薬草採取を行うので、皆で冒険者ギルドに移動します。

 道中、フィーナさんはニコニコ顔で街の人に挨拶していました。


「こんにちわ」

「おや、フィーナ様ではないですか。赤ちゃんの誕生おめでとうございます」

「有難う御座います」


 と、こんな感じで街の人からアーサーちゃんの誕生を祝う声がフィーナさんにかけられています。

 フィーナさんも、街の人からの声にとても嬉しそうです。

 そして、アーサーちゃんの誕生を祝う声は、冒険者ギルドに入っても続きました。


「おお、フィーナ様か。弟分が産まれたってな」

「辺境伯家も未来の跡取りが出来たな」

「これで、フィーナ様も叔母ちゃんだな」

「いいの。アーちゃんはフィーナの弟なんだよ」

「ははは、そうかそうか」

「全く、もう」

「「「「ははは」」」」


 冒険者に少しからかわれて、フィーナさんもちょっとほほを膨らませています。

 まあ、冒険者もフィーナさんもお互いにわざとやっているのが分かっているので、少ししたらお互い笑いあっていました。

 結果的には、冒険者もアーサーちゃんの誕生を喜んでいるようです。

 フィーナさんと冒険者が仲良しだから出来る芸当でしょうね。

 その間に、薬草採取の手続きを進めておきましょう。


「今日は初心者冒険者と一緒なんですね」

「はい、たまたま受付をしたら隣にいましたので。一緒にどうですかと声をかけたんです」


 護衛のお姉さんが、たまたま隣で受付をした初心者冒険者に声をかけた様です。

 スーとほぼ同じくらいの二人組の女性です。

 

「すすすす、すみません。突然参加させてもらい」

「まま、まさかフィーナ様だと知らずにお願いしてしまって」

「大丈夫だよ」

「全く問題ありませんわ」

「フランが色々教えてあげるよ」

「ホルンも教えるの」


 フィーナ様に加えて、シロ達も女性と話をしています。

 女性はかなり恐縮している様だけど、こちらとしては全く問題ありません。

 アオとパールも警戒していないから、女性は悪い人でもなさそうです。

 そんな事を思いながら、僕達は森に到着です。

 すると、既に薬草採取をしている先客がいました。


「おや、フィーナ様じゃないですか」

「赤ちゃんの誕生、おめでとうございます」

「おばちゃん、ありがとうございます」


 薬草を採っていたおばちゃん軍団からも、フィーナさんは声をかけられていました。

 フィーナさんも今日は色々な人から声をかけられて、ニコニコが止まりません。

 僕達もおばちゃん軍団に混じって、薬草採取を始めます。


「これが薬草です。ちょっと匂ったり、葉の裏に毛みたいのがあるんですよ」

「薬草って、よく見れば直ぐに判別付きますね」

「それに、群生しているんですね」

「あとね、根っこは採っちゃ駄目なんだよ」

「気をつけます」


 フィーナさんとシロが、女性に薬草の採り方を教えています。

 二人とも、積極的に女性に声をかけていました。


「フィーナ様もすっかりお姉ちゃんね」

「何だかこっちもほっこりしてくるわね」

「頑張っている姿が可愛いわね」


 頑張って女性に薬草の採り方を教えているフィーナさんを、おばちゃん軍団もニコニコしながら見ています。

 フィーナさんはアーサーちゃんが産まれて、すっかりお姉ちゃんになっていますね。

 僕達と護衛に加えておばちゃん軍団もフィーナさんを見守っていたので、とっても安全に楽しく薬草採取を行う事ができました。

 因みに、アオもパールに薬草採取を教えていて、今日の一番の収穫はこの二匹でした。

 肝心のフィーナさんは、女性にきっちりと薬草採取を教えられたので採った薬草が少なくても大満足でした。

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