散歩の百三十話 辺境伯様の屋敷に到着
「おお、帰ってきたか。話は兵からある程度聞いておるぞ」
辺境伯様の屋敷に戻ると、先代様と先代奥様が僕達を出迎えてくれた。
先ぶれの兵によって、教会で起きた事は把握しているようだ。
「あらあら、シロちゃんは眠たそうだわね」
「うみゅ……」
「お部屋に案内するわ。シュンさんとスーさんも付いてきてね」
「はい」
「分かりました」
何とか頑張って辺境伯様の屋敷まで歩いたシロだったが、もう眠気が限界の様だ。
先代奥様はシロの手を引きながら、僕達を先導してくれるようだ。
「他の者はパーティルームに集まってくれ。取っておきの酒を用意してあるぞ」
「流石は先代様だ」
「「「いえーい!」」」
僕達の背後では、先代様と残りの人達のやり取りが聞こえてきた。
美味しいお酒にありつけるというので、全員が歓声を上げていた。
そんな声を聞きながら、僕達は一階の奥にある客室へ案内された。
「ここの部屋を使ってね。シロちゃんも寝ましょうね」
「うん、おやすみ……」
先代奥様に客室を案内されると、シロとアオは一目散にもぞもぞとベッドに潜り込んだ。
おんぶしていたフランとホルンも、シロの側に寝かせてやる。
三人と一匹がピッタリとくっついて寝息をたてているのを確認してから、僕達は部屋を出た。
「兵から色々と報告を聞きましたが、にわかには信じられない事が起きていたのですね」
「はい、僕も未だに全てを信じられないです。まさか奴らが悪魔召喚をするとは思っていませんでした」
「不完全な状態で悪魔召喚がされたのが幸いでした。もし完全な状態で悪魔が召喚されたら、教会に向かったメンバーでは悪魔を倒せなかったかもしれません」
スーの言う通り、もし完全な手順で悪魔が召喚されたらどれ程の強さなのか計り知れない。
司祭が何かしらの理由で不完全な悪魔召喚をせざるをえなかったのは、僕達にとっては本当に運が良かったと言えよう。
「何れにせよ、皆様は辺境伯領の安定に寄与してくれました。私からもお礼を述べます」
先代奥様は、綺麗な作法で僕とスーにお礼をしてきた。
ここは素直にお礼を受け取っておこう。
そして僕達はパーティルームに到着します。
既にパーティルームの中から、とても賑やかな声が聞こえています。
「おお、やっときたか。子どもらは寝たか?」
「はい、シロも直ぐに寝てしまいました」
「がはは、お子様だからしょうがねえ。ここからは大人だけのお楽しみタイムだ」
既にお酒を飲んでいて、上機嫌な実行委員長に声をかけられた。
もうお酒が待ちきれなかった様で、他の人もワイワイとやっていた。
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