散歩の百二十九話 辺境伯様の屋敷への帰還

「では、捜索班と警備班を呼び寄せて置きましょう」

「うむ、明日朝から本格的な捜索を始めるとしよう」


 辺境伯様と副団長が話をして、直ぐに兵を走らせた。

 派手に戦闘したから教会の中はぐちゃぐちゃになっているけど、何か重要な物が残っているかもしれない。

 引き継ぎが終わるまでは今いる兵で教会を警備するというので、僕達も教会の外にでた。


「お館様、ならず者の拘束が完了しました」

「うむ。明日より本格的な聴取を行うとしよう」

「はっ」


 教会の外にいた兵が教会から出てきた辺境伯様に駆け寄っていき、全員の拘束完了を報告していた。

 教会内にいたローブを被っていた人とならず者は完全に戦意喪失しているので、どちらかというと教会の外にいるならず者の方が拘束するのが大変だったようだ。

 因みに悪魔召喚に使われたならず者は、衰弱はしているが生きているそうだ。

 と、ここでシロとアオが拘束されたお姉さんの所に向かっていった。


「お姉さん、大丈夫?」

「ええ、大丈夫よ。それにシロちゃんのお陰で、色々と吹っ切れた気がするわ」

「そうなんだ」

「ちゃんと罪を償って生きていくわ。折角命を助けて貰ったのだから、キチンと生きて行かないとね」

「きっと、それが良いよ!」


 お姉さんもシロもアオも笑顔だった。

 きっとお姉さんから貴重な供述を聞く事ができると思うし、事件解決の一歩に繋がるだろう。


「では、連行します」

「道中気をつける様に」

「バイバーイ」


 そしてお姉さん達は、新たに到着した兵によって連れて行かれたのであった。

 シロとアオがお姉さんに向かって手を振ると、お姉さんは少しだけこちらを振り返ったのだった。


「さて、兵の引き継ぎも完了したし、我々も屋敷に戻るとする」

「いやあ、今夜は美味い酒が飲めそうだぜ」


 辺境伯様が引き上げの合図をした所で、商店街の人達の頭の中はこの後行われるであろう祝杯の事に変わっていた。

 まあ、大人数でとはいえ悪魔を倒した訳だし、僕が治療したとはいえ現在怪我人はいない。

 辺境伯領での問題も片付いたし、これでひと段落だ。

 

「うみゅ」

「眠いよ」


 そしてフランとホルンはというと、普段は既に寝ている時間に加えて大量に魔法を消費したのもあってか、緊張の糸が切れて半分夢の中に入っていた。

 流石にこのままにはしておけないので、フランを僕がそしてホルンをスーがおんぶする事にした。

 すると、二人は直ぐに寝息を立てて寝てしまった。


「シロも眠いんじゃないか?」

「眠いけど、まだ大丈夫だよ」

「頑張って辺境伯様の屋敷までは起きてくれよ」


 シロも戦いが終わったのもあるのか、アオを頭に乗せたまま少しフラフラしていた。

 何とか歩いているのだが、もし寝てしまったら他の人におんぶでもして貰おう。

 そんなこんなで、僕達は辺境伯様の屋敷への帰路につきました。

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