散歩の百二十八話 トドメの一撃
「一気に畳み込む。私も悪魔に神の一撃を食らわそう」
「おお、副団長の必殺技が見られるぞ!」
騎士団の偉い人が、片膝をついたバフォメットを見てトドメをさすと宣言した。
すると、騎士団も騎士団の偉い人の発言を聞いて盛り上がっていた。
というか、騎士団の偉い人は聖騎士団全体の副団長だったのか。
そりゃ偉い訳だよ。
副団長はスラリと剣を抜き、剣に魔力を込め始めた。
「この技は魔力を溜めるのに時間がかかる。魔力を溜める間、バフォメットを足止めしてくれ」
「よし、みんなやるぞ」
副団長の要請に、辺境伯様が答えた。
と言っても、僕達のやることは変わらない。
「へへ、騎士団がとっておきを繰り出す前に、俺達が先に倒すぞ」
「シロもアイツを倒しちゃうよ」
「ふ、フランも頑張る!」
俄然と殺る気になった実行委員長とシロに加えて、フランも攻撃部隊に加わった。
「オラオラオラ!」
「えーい」
「やー」
「buhu」
実行委員長達のバフォメットへの攻撃は更に苛烈を極めていく。
出し惜しみする事なく、本気の攻撃を続けている。
「こちらも攻撃を続けよう」
「はい」
「えーい」
ズドドドーン、ズドドドーン。
物理攻撃部隊がさっと退避した所で、今度は僕を含めた魔法攻撃部隊が休むことなくバフォメットに魔法を浴びせる。
魔法の飽和攻撃を浴びたバフォメットは、僕達が放つ魔法を防ぐので精一杯だ。
「よし、よくやってくれた。これで終わりにする!」
そして剣に十分魔力を溜めた副団長が、気合をいれて剣を担いだ。
剣は神々しく光り輝いていて、教会内をも照らすほどだ。
副団長はバフォメット目掛けて高く跳躍した。
「黄泉に帰れ、悪魔よ!」
「gaaaa!」
副団長は、光り輝く剣をバフォメットの頭部に叩きつけた。
魔力を帯びた剣を受けたバフォメットは、断末魔の叫び声をあげていた。
「a、aa……」
光の奔流の後バフォメットは遂に倒れ、体が紫色の塵の様なものに変わっていき、そして姿を消していった。
だが、副団長と辺境伯様は気を緩めていなかった。
「シュン、直ぐに辺りを浄化してくれ」
「まだ教会に悪意が漂っている。このままだと、悪意の影響を受ける者が現れるぞ」
「はい!」
「シュンさん、お手伝いします」
「ホルンも」
僕は副団長と辺境伯様の指示で、スーとホルンと共に辺りを浄化し始めた。
かなりの抵抗があったけど、魔力を込めて教会内を浄化すると嫌な空気がなくなっていくのが分かった。
そして、聖騎士達が辺りを確認し始めた。
「副団長、確認終わりました」
「異常はありません」
「そうか、ご苦労」
教会内に異常はないと、聖騎士が副団長に報告した。
そして、副団長と辺境伯様とギルドマスターがお互いの顔を見て頷いた。
そして、副団長が拳を高く上げた。
「悪魔は倒された。我々の勝利だ!」
「「「うおー!」」」
副団長の勝どきに、全員が歓声を上げていた。
こうして、悪魔召喚まで発展した教会の攻防は、僕達の勝利で幕を閉じたのだった。
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