散歩の百十二話 子ども達も屋台で張り切ります

「「「いらっしゃーい」」」


 屋台から、子ども達の賑やかな声が聞こえてきます。

 お揃いの法被を着た子ども達の可愛らしい姿に、花見客も思わずニンマリです。

 そして、今日も子ども達の集客力も加わって、大変な人混みになっています。


「この焼きそばパンは、僕が作ったんだ」

「あら、とても上手に出来ているわ」


 何人かの子どもは、自分で作った焼きそばパンを販売していた。

 子どもが一生懸命に作った焼きそばパンなので、購入したおばさんも子どもの事を褒めていた。

 因みに、ボロボロになってしまった実行委員長の娘さんが作ったパンは、冒険者達向けの試食用に消えていた。

 実行委員長の娘さんは調理班失格となってしまったので、屋台で会計係となっています。

 シーフと魔法使いの女性冒険者も、子ども達と一緒に会計係をしています。

 流石は商店街にある商店の娘さんなので、難なく会計を行っています。

 子ども達はあくまでも声掛け部隊と笑顔部隊なので、お金は扱いません。


「カレー一つです」

「こっちはカレー三つです」

「はい!」


 僕はというと、沢山の注文が飛び交ってもう大変です。

 分担制にしたので、お客さんは待たせずに処理ができます。

 その代わり、厨房代わりのバックヤードが大変な事になっています。

 僕は勿論の事、アオやリーフに助っ人のおばちゃんもてんやわんやです。

 大量に作ってもあっという間に料理が無くなっていくので、休む暇なく料理を作っていきます。

 僕は花見祭りに訪れる観光客を甘く見ていたよ。


 そして怒涛の勢いの中、夕方になったので本日の花見祭りは終了です。

 今日も、在庫切れで夕方前に屋台は閉店です。


「疲れた……」


 そして、今日も僕は疲れ果てています。

 一体今日は、カレーが何食出たのだろうか。

 数えるのも嫌になる程、カレーを作ったぞ。

 アオとリーフも疲れていたけど、おばちゃんがスライム焼きを手伝ってくれたので昨日よりはマシだった様だ。

 僕は一人でカレーを作っていた。

 おばちゃん、僕の方も手伝って欲しかったよ。


「今日も楽しかったね」

「ねー」


 フランとホルンは、椅子に座ってご褒美のジュースを飲みながら他の子ども達と話をしていた。

 子ども達も今日は声掛けと笑顔部隊で大活躍だったので、皆いい笑顔でいる。

 観光客はともかくとして、街の人は子ども達がムホウ商会で違法に捕えられていたのを知っている。

 だからなのか、子ども達が元気に動いているのを目を細めて見ている人もいます。


「うむ、今日の屋台のラインナップで今年の花見祭りはまわせそうだな。助っ人はどうするかな……」

「料理人、もっと増やしてください!」

「どうしようかな」


 料理が増える事はなさそうだけど、人手をもっと増やして欲しい。

 僕は実行委員長にお願いしたけど、実行委員長はニヤッとするだけだった。

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