散歩の百四話 花見祭りに向けて準備

 早速ホルンの冒険者登録をする事になったのだが、僕は食べ物を仕込む準備がある。

 なので、ホルンにはスーとシロが付き添いで着いていく事になった。

 そして、何故か実行委員長もスー達に着いていくそうだ。


「奥様、実はこういううたい文句を使いたいのですが宜しいでしょうか?」

「ええ、宜しいわよ。事実ですから、問題ありませんわ」


 しかも実行委員長は、帰りがけの先代奥様と何か話をしていた。

 二人してチラチラと僕の事を見ながら話をしているので、何だかとっても怪しいぞ。

 更には冒険者ギルドまでという事で、先代奥様が実行委員長やスー達を馬車に乗せて行った。

 何もない事を祈るばかりだ。


 さてさて、僕は焼きそば屋の下ごしらえを進めます。

 ざっくりと野菜と肉を刻んでおいて、アイテムボックスに入れておく。

 ソースも作り終えたし、これで準備完了。

 僕の横の屋台では、アオとシーフのお姉さんの従魔のリーフとフランがスライム焼きの準備を進めています。

 といっても、タネを準備するのは僕なんだけどね。

 早速アオが、試し焼きをしながらリーフに作り方を教えています。


「おいしー! アオ凄い!」


 スライム焼きは試食担当のフランも大満足の出来で、とても美味しそうに食べていた。

 子どもが満足するなら、スライム焼きも問題ないだろう。


「いやあ、あんちゃんとあんちゃんの従魔は凄いね。今回の祭りの目玉になりそうだよ」

「出来るだけ頑張ってみます」


 実行委員長の奥さんが僕達の様子を見にきたけど、リーフが焼いたスライム焼きを食べながら何かを持ってきた。

 実行委員がお揃いで着ている法被見たいなもので、それをフランに着させていた。


「うんうん、とても可愛いわよ。これでスライム焼きと焼きそばは如何ですかって、皆に声をかけてね」

「フラン、頑張る!」


 実行委員長の奥さんは、フランの為に役割を用意してくれた。

 声かけならフランも危なくないし、フランもやる気満々だ。

 

「ただいま帰りました」

「シュンお兄ちゃん、ただいま」

「おかえりなさい」


 屋台の準備ができた所で、冒険者ギルドに行っていたスーとシロとホルンが帰ってきた。

 実行委員長はというと、冒険者を何人か引き連れている。

 

「ホルンの冒険者登録は無事に終わりました。あと、念の為という事で実行委員長が警備役の冒険者をギルドに依頼していました」

「昨日あんな事があったから、万全の体制を取るのかな。こればかりは仕方ないね」


 だからなのか、実行委員長が連れてきた冒険者は屈強な男性のグループだった。

 シロが敵意を感じていないという事は、問題のない冒険者なのだろう。

 すると、スーが僕の事を気の毒な表情で見ていた。


「シュンさん。その、賄い頑張って下さい」

「ま、賄いね。人数増えたもんね」


 スーが賄いの事を言ってきたけど、実行委員の人も僕の賄いを期待していた。

 少し人数が増えた位だから問題ないと思うのだが、スーは何を心配しているのだろうか?

 僕は、この時は別に大した事ないと思っていた。

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