散歩の百二話 フランの冒険者登録

 色々とあって休息日なのに全く休息にならなかった次の日の朝、今日はいよいよ花見祭りの開始日です。

 

「「すー、すー」」


 僕が起きると、直ぐ側で二つの寝息が聞こえてきます。

 昨晩シロが僕の所で寝る番だったので、一緒にフランも寝ていた。

 フランはまだ小さいので、三人でベッドで寝てもまだ余裕だ。

 とはいえ、今日は早めにギルドに行って色々と手続きをしてしないといけない。


「ほら、朝だよ。起きるよ」

「「うーん」」


 僕が二人を起こすと、眠い目を擦りながらシロとフランがムクっと起き上がった。

 既にスーは起きていてアオも起きたので、僕も着替えよう。


「「おはよー」」

「お、嬢ちゃんもきたか」


 早朝練習も、今日は短縮モードで行います。

 折角なので、フランも練習の見学をします。


「おお、フランちゃんにも魔力があるよ!」

「わーい」

「まあフランはドラゴニュートだから、何となく魔法が使えるだろうと思ったけどね」

「そうですね。身体能力強化と水魔法が使えるみたいですが、暫くは魔力循環を練習のメインにしましょう」


 今日は魔力の訓練をメインにして、他は体を動かす程度にしておく。

 フランはシロとアオと手を繋いで魔力循環をしているけど、当面はこの位にしておこう。


 そして、早朝の冒険者ギルドに到着。

 先ずはフランの冒険者登録を行います。

 何と冒険者ギルドでは、冒険者登録に年齢制限がないという。

 というのも、孤児院にいる子ども達や事情がある子どもが薬草やお手伝いなどでお金を得る事があるらしいので、そういう時の為の配慮らしいです。

 勿論、登録時は保護者の付き添いが絶対です。

 今のフランの保護者は僕とスーなので、冒険者登録自体は問題なく出来ます。


「はい、冒険者登録が終わりました。無くさない様に気をつけて下さいね」

「はーい」


 無事にフランの冒険者登録が終わり、フランは僕があげたマジックバッグに冒険者カードを大切そうにしまいます。

 そのまま僕達と一緒に、花見会場のお手伝いの手続きをして行きます。


「よし、じゃあ行くか」

「「おー!」」


 獣人の冒険者グループが声を上げると、シロとフランは元気よく手を上げていた。

 フランも昨日迄は不安いっぱいだったのに、シロという存在が現れたのでだいぶ元気を取り戻している。

 このまま元気にしてほしいものだ。

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