散歩の百一話 辺境伯家でカレーを作る事に
折角という事で、僕とスーも食事を頂いた。
よく考えると教会と奴隷市場のゴタゴタで、僕達は昼食を食べていなかった。
「シュンお兄ちゃん、帰ったらカレー作るんだよね?」
そして食べ物の事は記憶バッチリのシロとアオが、朝立ち寄った商会での話を覚えていた。
「カレー? カレーってなあに?」
「香辛料を使ったスープらしいですよ。シュンさんの作った料理はとっても美味しいですよ」
「「「そうなんだ!」」」
「うお!」
シロのカレー発言にフランが質問してきて、スーが答える。
すると、フランだけでなく保護された子どもが美味しい物というキーワードに反応してきた。
「あら、また新しい料理を作るんですね。とても楽しみだわ」
そして、先代奥様までカレー発言に食いついてきた。
うん、これでカレーを作らない訳にはいかないぞ。
屋敷の厨房を借りる事になり、いざカレー作りを開始!
「先ずはクミンを炒めて、パチパチしたら刻んだ玉ねぎを入れて炒めます」
「「「ほうほう」」」
厨房の料理人が、僕の作る手順をメモしてくれます。
厨房の入り口には、子ども達が顔を覗かせています。
「ニンニクを入れて炒めて、トマトと豆を入れていきます。追加のスパイスを入れて、ヤギの乳で作ったヨーグルトとオーク肉のスライスを入れます。水を加えて煮込めば完了です!」
「「「おー!」」」
「オーク肉以外は全て商店街で手に入ります。鶏肉とか野菜を入れてもいいし、小麦粉を入れてとろみを付けても大丈夫です。唐辛子などで、辛さも調整出来ますよ」
簡単な方法だけど、これで完成です。
きっと本職の料理人の方が、もっと美味しく作れるだろう。
試食用に幾つかの小皿に取り分けた。
「美味そうな料理だな」
「食欲を誘う香りですね」
「刺激的な味ですわ」
「「「おいしいー!」」」
いつの間にか辺境伯様と先代様に加えて、初めて会う辺境伯様の奥様とその子ども達が集まっていた。
そして、僕が作った分はあっという間に無くなってしまった。
「ふむ、これは中々のものだ。お前達、夕食に出せるか?」
「「「任せてください」」」
「「「やったー」」」
先代様がニヤッと料理人に話しかけたが、そこはプロの料理人。
問題ないと返答していた。
そして、子ども達は美味しい料理が食べられるとあって大喜びだった。
「明日から花見祭りだな。捜索はこちらに任せて、花見を楽しんでくれ」
「花見会場の運営とかがあるので、合間を見て楽しむ様にします」
見送りにきてくれた辺境伯様と話をした後、僕達は宿に戻る事に。
フランも、シロと一緒に手を繋いで宿に向かいます。
道中の服屋でフランの服と下着を購入し、宿に到着。
「おかえり、思ったより早かったな」
「ただいま戻りました。辺境伯様の屋敷では、話と料理を作っただけですので」
店主のクマ獣人が僕達を出迎えてくれた。
女性冒険者から話を聞いていたのか、早い帰りにびっくりしていた。
因みにフランは、リアルクマ獣人の店主を見ておおってびっくりしていた。
「にいちゃん早かったな。お、その子どもは一緒か」
「シロちゃんにくっついていたから、もしかしてって思ったのよ」
「というか、良い匂いがするな」
丁度女性冒険者が僕達の事を出迎えてくれたけど、どうも僕の服からする香辛料の匂いに気がついた様だ。
獣人でもないのに、凄い嗅覚だな。
「シュンお兄ちゃんが、カレーを作るんだよ」
「美味しいよ!」
「ほうほう、あんちゃんの新作か。それは興味あるな」
そしてシロとフランが、剣士の女性に俺が夕食にカレーを作ると言ってしまった。
既に花見会場で僕の料理を食べているので、剣士だけでなく他の冒険者や店主まで集まってきた。
これは、全員にカレーを作らないとダメっぽいぞ。
俺は宿の厨房を借りて、カレーを作り始めた。
「「おいしー!」」
「こりゃうめーな。食欲を誘う味だな」
「ちょっとピリリとするのがいいな」
「おりゃ、もっと辛くてもいいぞ」
僕は、午後はずっと料理をしていたな。
まあ、カレーはシロとフランだけでなく他の人にも好評だったから良しとしておこう。
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