散歩の百話 フランを預かる事に

 話し合いも終わったので、応接室から子ども達のいる大きな部屋に移ります。

 保護された子ども達は着替えも終わっていて、皆で食事をしています。

 子どもの周りを侍従が忙しなく動いていて、さながら小さな保育園って感じです。


「あ、シュンお兄ちゃん、スーお姉ちゃん。おかえり」

「おかえりー」


 僕とスーの所にシロがやってきたけど、あのドラゴニュートの少女も一緒だ。

 今はシロに抱っこされてはなく、仲良く手を繋いでいた。


「ただいま」

「皆で食事ですか? 一杯食べて下さいね」

「「うん!」」


 スーがドラゴニュートの少女に食事の事を言うと、何故かシロも一緒に返事をしてテーブルに戻って行った。

 二人は本当に仲良くなったな。

 ついでだと、アオもシロの頭の上に乗ってテーブルの方に向かって行った。


「お帰りなさい。その顔を見る限り、どうやら打ち合わせは上手く行った様ですね」

「はい。後ほど辺境伯様か先代様から、今後の事について話があるかと思います」

「ええ、楽しみにしておりますわ」


 そして、僕とスーの所には子ども達の面倒を見てくれていた先代奥様がやってきた。

 しかし流石は長年領主である夫を支えてきただけあって、僕とスーの顔色と表情で打ち合わせの結果を当てていた。

 やっぱり、先代奥様は凄い人だ。

 すると、先代奥様がとある提案をしてきた。


「シロちゃんと仲良くなったドラゴニュートの女の子はフランっていうのだけど、見てわかる通りシロちゃんに懐いちゃったのよね」

「もしかして、一緒に面倒を見てくれないかという事ですか?」

「あら、私の考えも読まれちゃった様ね」


 そりゃシロとフランの事を聞かれれば、僕だって何となく分かりますよ。

 まあ、あの二人の仲の良さを見れば、引き離すのはちょっと酷だな。


「スー、良いか?」

「ええ、シュンさんにお任せしますわ」


 スーも問題ないというので、僕の方針は決定です。


「では、フランは私の方で面倒を見ますね」

「お願いしますわ。あの子の所在がわかっていれば問題ありませんし、何よりシュンさんに懐いているシロちゃんを見れは安心です」


 先代奥様からもフランの事をお願いしますと言われたので、僕とスーは早速シロとフランとアオの所に向かった。

 

「わーい、フランちゃんと一緒だ」

「わーい、わーい」


 どうも耳の良いシロとフランに加えて、アオも僕と先代奥様の話を聞いていた様だ。

 一緒になってぴょんぴょんと跳ねていた。

 しかし、今は食事中です。

 他の子もいるから、座って食べましょうね。

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