散歩の九十七話 追加で保護された子どもと捕縛された教会関係者
殆どの関係者を連行し、子ども達を救出できた。
それでもなお、辺境伯様は捜索の手を緩めていない。
「隠し部屋があるかもしれない。隅から隅まで調べるのだ」
と、ここで捜索に参加すると手を上げた人が。
「ふふふ、隠し部屋ならシロとアオが見つけるよ!」
「ふむ、それは頼もしいな。ゴブリンハンターの実力を見せてもらうか」
「任せて!」
シロとアオが、辺境伯様に元気よく話しかけていた。
辺境伯様も、うまくシロとアオの事を煽っているぞ。
そして、シロとアオは兵と共に建物の中に入っていった。
「おーい、助太刀にきたぞ」
「あたしらも手助けに来たよ」
「ここは私達も手伝います」
「お父さんも怪我していない?」
そして規制線が解除されたのか、女性冒険者達と実行委員長の娘さんもこちらにやってきた。
商店街の各店舗の娘だけあって、さらりと奴隷市場の中に入ってきた。
そして、子ども達の面倒を見始めている。
「うーん、どう考えても人間主義の連中が関わっていますね」
「見事に全員獣人や希少種だ。全くため息しか出ないぞ」
辺境伯様と話をするけど、保護された子どもは三十人程いて全て五歳位の獣人や希少種だ。
さっきの天使の子の様に、レアな人種も含まれていた。
どう見ても、違法奴隷の取引の為に集められた子ども達だろう。
そして、屋敷の中に入っていたシロが、更にレアな希少種を連れてきた。
「シュンお兄ちゃん、全ての隠し部屋を探し当てたよ。そうしたら、この子がいたんだよ」
「ハハハ、これは凄い子どもを見つけてきましたね」
「まさかドラゴニュートとは。奴らの欲望はどれだけのものなのだろうか」
シロが抱っこしているのは、ドラゴニュートの子どもだった。
青いセミロングの髪に角が生えていて、青い翼と青い尻尾が生えていた。
どうも助けてくれたシロに懐いたのか、ぎゅっと抱きついている。
そして、シロの頭に乗っているアオが、触手でドラゴニュートの子どもの頭をなでなでしていた。
アオがこの子に回復魔法をかけてある様だけど、僕も念の為に回復魔法と生活魔法をかけてあげた。
「シロ、全ての部屋を見つけ終わった?」
「うん、全部見つけたよ。もう、誰もいないよ」
「よし、ここからは書類の押収だ。この後は兵に任せるとしよう」
僕とシロの話を聞いて、辺境伯様は次の指示を出していた。
さて、この子どもをどうやって運ぼうかと思っていたら、奴隷市場の入り口が騒がしい。
どうやら、騒ぎを聞きつけた教会関係者がやってきた様だ。
この場にいる全員が騒いでいる教会関係者にイラッとしているが、どうやらこの人の怒りに再び炎をつけてしまった様だ。
先代様が、教会関係者の所に近付いていった。
「おい、ガキを連れて行く気か!」
「黙れ、この馬鹿どもが! 違法行為を何とも思わないのか!」
「ふん、神に逆らう馬鹿者が。天罰が下るが良い」
「神の名を語れば何でも出来ると思っているのか! コイツらも連れて行け!」
「「「はっ」」」
「「「は、離せ!」」」
うわあ、コイツらは先代様の怒りを更に増しただけの馬鹿だった。
拘束されていく教会関係者をよく見れば、冒険者ギルドで大騒ぎしていた三人組だぞ。
もしかしたら、教会の人員構成の解決の手がかりが得られるかもしれないな。
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