散歩の九十五話 怪しい商会へ突入
男がへたり込んだからといって、先代様の怒りが収まる訳がない。
むしろ、怒りの炎が益々燃え上がった様だ。
「国法で、奴隷の虐待は固く禁じられておる。そもそも、小さい子どもへの虐待は奴隷だろうが関係なく厳禁じゃ。その上、儂の事まで馬鹿にしおったな!」
「ヒ、ヒィィィ」
男は顔が真っ青になって後退りをしているが、もう全てが遅かった。
遂に先代様の怒りが爆発してしまったのだ。
「複数の罪の現行犯じゃ! 兵を集めて、今直ぐ捜索じゃ!」
「「「はっ!」」」
奴隷市場の門は閉じられ、先ず護衛の騎士が商会の中に入って行った。
因みに、先代様の怒りの一喝を全身で受けた男は、泡を吹いて気絶していた。
直ぐに応援の兵もやってきて、何十人もの兵が商会の中に入っていく。
そして街道に残っている人から、別の兵が事情聴取を始めた。
「おお、おじいちゃん凄い!」
シロとアオは先代様の早業に喜んでいたが、小さな女の子は突然の出来事にポカーンとしていた。
僕とスーも、シロの側に駆けつけた。
小さな女の子は金髪のロングヘアと羽根が生えていて、天使っぽい容貌だ。
将来は美人さん間違いなしなのに、今は顔も土で汚れてしまっている。
服もボロボロだったので、アイテムボックスから毛布を出して被せてやった。
そして、スーが追加で女の子の治療を始めた。
「こっちにスペースを作りました」
「よし、救助者を運ぶぞ」
さて、僕はというと追加の毛布を複数出していた。
更にレジャーシートみたいな物を出して、複数が座れる様にした。
何故こんな事をしているのかというと、商会に突入した兵が次々と子どもを助け出していたのだ。
僕とスーとアオは、助け出された人を次々と治療していく。
助け出されたのは全て子どもで、全員が酷い怪我を負っていた。
「何という事でしょう。こんな酷い事が起きていたなんて」
先代奥様は、付き添いの侍従と共に子ども達の治療をしている。
怪我だらけで痩せ細っている子ども達の様子を見て、だいぶ心を痛めている様だ。
「俺達も手伝うぞ」
「こんな酷い事を見逃せないぞ」
店主達も、子ども達の惨状に立ち上がっている。
アオが魔法で出した水を使って、子ども達の体を拭いてあげていた。
「くそ、逃げるブボエ」
「悪い人はやっつけるの!」
何人かが兵が突入した商会から逃げようと建物の中から飛び出してきたが、こちらも怒りに燃えているシロの手によって撃沈されていく。
というか、シロも容赦なく不審者を殴っていくなあ。
そして、このタイミングで更に援軍がやってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます