散歩の九十一話 奴隷市場に到着

 僕達は気分を切り替えて、今度は奴隷市場に向かいます。

 実は奴隷市場は商店街の近くにあり、僕達は一度商店街に戻ります。

 奴隷市場は一見すると普通の商会が立ち並んでいる様だが、建物の作りはしっかりとしている。

 そして奴隷市場は袋小路になっていて、入り口を監視しているのか兵がついていた。

 兵がついているのは、奴隷が逃げない様にと不審者が入らない為なのかな。


 おや?

 兵の所に、見た事があるご婦人がいるぞ。

 兵と和やかに談笑しているご婦人の所に、シロとアオが突撃していった。


「おばあちゃんだ!」

「おやまあ、シロちゃんじゃない。それにアオちゃんも一緒なんだね」

「うん! シロはいつもアオと一緒だよ!」


 何と兵と話をしていたのは、東の辺境伯様の先代奥様だった。

 何で先代奥様が奴隷市場に来ているのだろうか?

 そう思っていたら、実行委員長や店主達が先代奥様の所に近づいていった。

 僕とスーも一緒について行ってみよう。


「これはこれは奥様ではないですか。今日は慰問ですか?」

「ええ、そうですわ。それに、奴隷達が健康的に暮らしているか確認する事もありますわ」


 話を聞いて見ると、辺境伯家の一員として奴隷市場に不正がないかチェックしているという。

 今回は先代奥様の番との事です。


「シュンさんは奴隷市場の見学ですか?」

「はい、教会と奴隷市場を回っております。まあ、教会では散々な目に遭いましたが」

「怒鳴られちゃったの。シロとアオは不浄な存在なんだって」

「まあ、何と言う事でしょう。もうちょっと教えてくれない」


 先代奥様に今日の予定と軽く教会で何があったかを話すと、先代奥様はかなりびっくりしていた。

 シロとアオがショボーンとなったのも、先代奥様はかなり気にしている様だ。

 僕と実行委員長が教会での出来事を話と、先代奥様は兵とも話を始めた。


「この教会の話、辺境伯家も聞いていません。兵の方も情報を押さえていますか?」

「いえ、先週教会前を巡回した際には、その様な看板は御座いませんでした」

「これはあまり良くないですね。教会の看板の存在を確認したら、屋敷に報告してくれませんか?」

「はっ、直ぐに動きます」


 流石は先代奥様だ。

 直ぐに兵に指示を出していた。

 教会の件は辺境伯家も知らない話なので、思ったよりも大事になりそうだぞ。

 

「奥様、奴隷市場の見学が終わったら我々も屋敷に伺います」

「助かるわ。明日から花見祭りが始まるし、出来るだけトラブルになりそうな事は防ぎたいわ」


 実行委員長が先代奥様と話をしたけど、不安は確かに潰したいよね。

 先ずは、奴隷市場の見学を早めに終わらせよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る