散歩の九十話 怪しさ満点の教会

 僕達が教会前の看板を見ながらあーだこーだ言っていたら、教会の中から関係者と思わしき人物が出てきた。

 どうも僕達の声は、教会内にも聞こえていたようだ。

 しかし、この教会関係者は何だかおかしいぞ。

 どう見てもこの前冒険者ギルドに来たような、ならず者が聖職者の服を着ている感じだ。

 シロとアオも、教会内から出てきた人物を見て警戒を強めている。

 シロとアオの態度を見る限り、この怪しい人物は何かしらの犯罪者であるのは間違いなさそうだ。


「ふん、何だか煩いと思ったら獣人とスライムにその連れか。獣人臭いお前らに用はない、帰った帰った!」


 そして怪しい教会関係者は、僕達を見るなり罵声を浴びせてきた。

 罵声を聞いた実行委員長を含む商店街の店主は、一斉に怪しい教会関係者に噛み付いてきた。


「この金額は何だ! 明らかにおかしいぞ」

「今まで教会で何かあったら商店街に通知が来たけど、今回は全くなかったぞ」

「とうとう教会は、金の亡者になり下がったのか」


 ギャーギャーと騒ぐ商店街の店主達を、怪しい教会関係者が鼻で笑っていた。


「ふん、貧乏人には話す事は何もない。帰った帰った!」


 僕達に向かってそう言うと、怪しい教会関係者は教会の中に入って扉を閉めてしまった。


「何ですか? あんなに酷い教会関係者は、私も見た事ありません!」

「まだ前の方がまともだったぞ。嬢ちゃんの言いたい事もわかる」

「はあ、教会はここまで落ちぶれてしまったのかよ」


 怪しい教会関係者の行動に、店主だけでなくスーも憤慨している。

 まあ、恐らく教会関係者ではなく犯罪者っぽいけどね。

 

「うう、怒られちゃったよ……」

「シロとアオは、あの男が言った事は気にしないでいいよ。怪しい人物だって分かっていたんでしょ?」

「うん……」


 そして、シロとアオは怪しい教会関係者に怒鳴られた為か、思わずしゅんとしていた。

 誰だって怒鳴られるのは嫌だよね。

 僕とスーで、シロとアオの頭を撫でて慰めていた。


「こりゃちょっと不味いな。奴隷市場を確認したら、領主様の所に行こう」

「そうですね。この教会の対応は、あまりにも横暴です」


 僕は実行委員長と話をするけど、もう教会は明らかにおかしい事になっている。

 でも、何で教会はこんなにお金を必要としているのだろうか?

 この後の奴隷市場でも何もなければいいなと、僕は思わず考えてしまった。

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