散歩の九十二話 奴隷市場に
兵が動くのを見送ってから、僕達は奴隷市場の中に入っていく。
最初は、奴隷市場の商店を取り仕切る商会に向かいます。
「へえ、街並みはとても綺麗ですね。もしかして路上で奴隷が鎖に繋がれて売られているかと、一瞬思ってしまいました」
「昔はそんな事もありましたわ。秩序が守られておらず、奴隷も酷い扱いを受けておりました。少しずつですが状況を改善して、ようやく奴隷の人権も守られる様になりました」
奴隷市場内は、とても綺麗で清潔感に溢れている。
道行く人も、身なりがキチンとしている人だけだ。
たまに奴隷っぽい人が主人の後をついているけど、悲観的な感じはなく主人も奴隷のことを気にかけていた。
前代奥様が答えてくれたけど、少なくとも今はどの奴隷も悲劇的な扱いを受けていないという。
その辺りは、商会についた時にも会長が話をしてくれた。
「国も奴隷に関する法整備を進めており、我々奴隷商会や奴隷主が奴隷に対して虐待を行う事は禁止されております」
ジェントルマンという装いの紳士が、突然の大勢の来訪にも関わらず快く出迎えてくれた。
しかし、とある話になると会長の顔が曇ってしまった。
「未だに奴隷を酷い扱いする奴隷主がいるのは確かです。我々奴隷商会は、その様な奴隷主には奴隷を販売する事はありません。しかしながら、あえてその様な奴隷主に奴隷を販売する奴隷商会も存在しております」
「私もその存在は知っておりますわ。どうも人間主義を掲げている勢力に多いと。そして扱われている奴隷は、獣人や希少種が多いと聞いております」
先代奥様も話を続けたけど、僕は何だか引っかかるものがあった。
今問題を起こしている教会は、人間主義を掲げている。
もしかして、何か絡みがあるのかな?
「横からすみません。もしかしてですけど、今問題になっている教会の勢力とその違法奴隷商会に絡みがあるのではないでしょうか?」
「あら、シュンさんは流石に鋭いわね。正確には、そこに絡んでいる人間主義を掲げている貴族や金持ちの勢力も絡んでいるわ」
うわあ、かなり面倒臭い事になっていた。
先代奥様が、思わずため息をつくのもよく分かる。
下手すると、教会が暴発してくれた方がこちらとしては対処がしやすいのかもしれないぞ。
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