散歩の八十三話 オリジナルハンバーグ
「あら、シロちゃんじゃない。今日は一緒にお食事ね」
「一緒に食事だね、おばあちゃん」
食堂に移動すると、既に先代様の奥様が席についていて、シロと久しぶりに話をしていた。
「妻は子どもの面倒を見ているので、今日は不参加になる。申し訳ないな」
「いえいえ、お子さんを優先として下さい」
辺境伯様のお子さんはまだ小さくて、丁度奥様が面倒を見ているという。
急に押し掛けたのはこちらなので、逆に気を使わせてしまって申し訳ない。
その間に、様々な料理がテーブルの上に並べられていく。
おや?
ハンバーグもテーブルの上に並べられたぞ。
「南の辺境伯からこの料理は老人でも子どもでも食べられると聞きましたので、今回作らせてみました。開発者の手前申し訳ないですが」
「いえいえ、ハンバーグも僕が考案したものではないですし、美味しい料理が広まってくれるのは、僕としても嬉しい事です」
辺境伯様が苦笑しながらいうけど、僕の方が逆に恐縮してしまった。
とはいえ料理が全部出そろった様なので、皆で頂きます。
「うーん、このハンバーグ美味しいよ!」
いの一番でハンバーグにかぶりついたシロとアオが、美味しいと大絶賛している。
僕も一口ハンバーグを食べてみた。
「これは、ショーユを使ったソースですか?」
「ははは、流石だね。ソース次第で味の違いが出せると聞いたので、では我が領の味を出してみようと思ったのだよ」
「はい、これはとても美味しいです。これは街の食堂でも売れると思います」
「考案者のお墨付きを得られたのは大きいな。これからも料理長に研究させてみようか」
辺境伯様も料理を食べながら感想を言っていたけど、東の辺境伯にはショーユという大きな武器があるから、この味付けはヒットしそうな気がするぞ。
「ほほう、これは確かに食べやすいし、様々な肉に応用できるな」
「そうですわね。これなら筋張った硬いお肉でも、柔らかくできますね」
先代様夫婦にもハンバーグは好評だった。
老人でも食べやすいし、肉であればなんでも流用が可能だ。
ギルドマスター夫妻は、無心で食べているなあ。
「うーん、これは良いものだな。シュンよ、また美味しい料理を考えてくれ」
「もし機会がありましたら検討致します」
「うむ、これで老後のまた楽しみが増えたな」
先代様にも好評だったので、また新しい料理を催促されてしまった。
うーん、この世界での調味料はまだ良く知らないし、どんなものがあるかな?
こうして、辺境伯様への訪問はなごやかな内に終了したのだった。
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