散歩の八十話 お茶との再会
「ここに来ていきなり領主様と面会か。あんちゃん大出世だな」
バンバン!
「痛い、痛いですよ」
「ハハハ、ここは気にせずゆっくりしてこい」
辺境伯様の屋敷に行く前に念の為にギルドの隣の宿屋に寄ったのだが、クマ獣人の店主が笑いながら手加減なく僕の背中をバシバシと叩いてきた。
こっそりと回復魔法で背中を治療するけど、絶対にあざになっていそうだ。
「お、お待たせしました」
「おう、じゃあ行くか」
「出発!」
「うふふ、元気ね」
ギルドマスターと奥さんと共に辺境伯様の屋敷に歩いて移動する。
歩いても二十分はかからないとの事なので、街の風景を見ながら歩いていく。
商店街を抜けていくと住宅街に入っていく。
教会の建物がちらっと遠くに見えたけど、辺境伯様の屋敷からは少し距離がありそうだ。
三十分位街並みをトコトコと歩いていくと、段々と住宅街に変わっていった。
この辺りは人間以外にも獣人も多くいて、豪華な服を着ているという事は恐らく辺境伯領の役人だろう。
「わあ、大きなおうちだね!」
「おう、ここが辺境伯様の屋敷だ。ちょいっと待っていろな」
シロがビックリするくらい大きな屋敷に着いたのだが、南の辺境伯様の屋敷よりも少し大きそうだ。
ギルドマスターは門兵に何やら話しかけていたが、直ぐに僕達は屋敷の中に案内された。
「廊下が高いね!」
「ここの屋敷には様々な種族がくるから。その分、間取りも広めにとってあるのよ」
「へえ、そうなんだ!」
ギルドマスターの奥さんの説明に、僕も納得だ。
街にはオーガみたいな大きい人種もいたし、そういう人が来るとなると屋敷も大きくしないといけない。
シロとアオは、大きいおうちに大興奮しているけど。
「それでは、こちらでお待ちください」
「はーい」
狐獣人の侍従に応接室に案内してもらった。
ここも家具が少し大きめになっているなあ。
と、ここで出された飲み物に僕はびっくりした。
「あれ? これってお茶ですか?」
「そうだ。東の辺境伯領と国境を接している東国から輸入している」
「そうなんですね。少し久々で懐かしくなりました」
日本茶みたいな味わいで、僕は少し懐かしく感じていた。
最もシロとスーは少し苦みのあるお茶が苦手の様で、渋い顔をしていた。
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