散歩の二十二話 朝の訓練
今日はギルドで薬草採取の講座があるので、この間購入した薬草図鑑を眺めている。
うーん、普通の草と薬草の違いが分からない。
これは実際に色々と教えて貰わないと薬草採取は出来ないぞ。
「シュンお兄ちゃん、何しているの?」
「薬草図鑑を読んでいたんだよ。今いくよ」
「皆待っているよ!」
シロとシロの頭に乗っているアオが、部屋のドアを開けてまだかと僕の事を呼んでいる。
宿の皆で依頼を受け始めてから、毎朝時間は短いけど宿の裏庭で一緒に訓練をしているのだ。
「すみません、遅くなりました」
「シュンお兄ちゃんたら、薬草図鑑を見ていたんだよ」
「ははは、シュンは相変わらず真面目だな」
既にアップを済ませていた他の人と合流して、早速訓練を開始する。
先ず体の中の魔力を循環させるのに座って集中しているのだが、何故か魔法が使えない他の人も一緒にやっている。
「心が落ち着いて、集中力が増すんだ」
と、その効果を話している。
僕達の訓練を見ていた宿の店主も、心を整えるのは大切だと続けるように言ってくれた。
その後は、最初に魔法使い組とそれ以外に分かれて訓練開始。
倉庫整理を一緒に行った人で、実は魔法の素養がある人が二人いた。
一人は大人しめな人が治癒師で、もう一人斥候タイプの人が身体能力強化が使えた。
「治癒師だと、攻撃魔法が使えないですよ……」
「馬鹿言うな。パーティに治癒師がいるといないとでは、パーティ全体の生存確率がかなり変わるぞ」
大人しめの人は攻撃魔法が使えないと言っていたが、宿の店主からも治癒師は有り難いと言っていた。
それに冒険者を辞めても、治癒師として食べていけるだろう。
「中々速度調整が難しいな」
「でも、少しずつ出来てきたよ!」
そして身軽な斥候タイプの人は、身体能力強化の加減に苦労している。
シロと色々と話をしながら、あーだこーだと試している。
シロは少しでも上手くいくと斥候を褒めているので、こちらも少しずつだけど訓練が進んでいる。
その後は、皆で組手の練習。
シロは元々獣人で素早く動けるので、対戦相手として一番人気だ。
シロも人が良いので、皆の相手を喜んでやっている。
こうして訓練は終了。
依頼もあるので、大体三十分くらいで終わりにしている。
「それでは、宿の前で集合だな」
「はーい」
各自軽く汗を流して、直ぐにギルドに行く準備をする。
今日薬草採取を教えてくれる人ってどんな人かなって、皆は少し気になっていた。
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