散歩の二十一話 初めての指名依頼

 次の日も倉庫主から話がギルドに行っており、倉庫整理の指名依頼が待っていた。

 昨日の講座を受けた面々で、早速現場に向かう。

 昨日の経験から、ギルドの売店で掃除道具をもう少し用意しておいた。

 

「「「おはようございます」」」

「いらっしゃい、待っていたわ」


 今日の依頼主は女性の元気の良いおばさんだ。

 少し太っているのはご愛嬌だ。


「実は今回の中には、まだ使える食材もあるのよ。選別できるかしら?」

「アオちゃんが任せてって言っているよ!」

「あら、じゃあお願いしちゃおうかしら」


 今日の依頼主は果物を主に扱っていて、アオが大活躍しそうだ。

 使える物は直ぐに発送するので、皆でアオが食べられると仕分けした物を詰めていく。


「おばちゃん、仕分けしたのはどうする?」

「リアカーに乗せておいてね」

「分かった!」

「シロちゃんは、とても力持ちなのね」


 仕分けした果物を乗せたリアカーは、倉庫に勤めている人が次々に運んでいく。

 アオの仕分け品を運びつつ、倉庫内も清掃していく。

 四時間程で仕分けが終わったので、一旦休憩することに。

 因みにアオは、弾いた果物を消化している。


「だいぶはかどったわね。はい、これも食べてね」

「わーい!」


 おばちゃんから果物の差し入れを貰って、シロは大喜び。

 皆もお昼ごはんを食べてひと休憩したら、倉庫整理を再開する。

 午前中に果物の仕分けが終わったので、後はひたすら荷物片付け。

 使える木箱は綺麗にして、朽ちてしまったものを解体して燃やしていく。

 後は皆で床を掃いて綺麗にしていく。


「あら、本当に綺麗にしてくれたのね。前に雇った人は散々だったから、実はちょっと心配していたのよ」

「僕達も結局従魔に頼りっきりでしたよ」

「果物の良し悪しの分別は、あたしらでも出来るからそこは問題ないよ。魔法を抜きにしても仕事をキチンとやるのは良い事だ。また、何かあったら頼むわ」

「はい、ありがとうございます」

 

 流石は倉庫主、アオの事や魔法抜きにして僕達の仕事振りをキチンと見てくれている。

 見てくれる人は、キチンと僕達の事を見てくれるんだな。

 と、ここで別の人から声がかかった。

 オールバックをビシッと決めた人だ。


「いやあ、君達の仕事を見ていたよ。私も倉庫整理を頼みたい」

「良いのですが、実は明日ギルドの講習を受ける予定なんです。僕達まだ依頼を受け始めて二日目なので」


 実は明日ギルドで薬草採取の講習があるのだ。

 冬場は薬草の供給量が減るので、ギルドだけでなく国全体としてもいくらでも薬草がほしいという。


「なに、出来る奴は最初から仕事を丁寧にやる。それに講習はとても大切だ。では、明後日君達に依頼するとしよう」

「有難うございます。頑張ります」

「「「宜しくお願いします!」」」

「うむ、こちらこそ宜しく頼むぞ」


 キチンと仕事をこなせば、次の仕事がやってくる。

 まだまだ信用度は低いのかもしれないけど、これからも信頼される様に頑張るぞ。

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