散歩の十四話 ギルドへ出発

「お兄ちゃん、起きて!」


 ペシペシ、ペシペシ。


「起きてよー!」


 ペシペシ、ペシペシ。

 ペシペシ、ペシペシ。


 うーん、なんだなんだ?

 シロとアオが、寝ている俺の上に乗って頬を叩いている。

 ワールドマップを出して時間を確認して……

 まだ朝の五時じゃないか。

 どうやらシロとアオは、冒険者ギルドに行きたくて早くに目が覚めてしまったようだ。

 でも、流石に朝早いぞ。

 ということで、おやすみなさい。

 ……ぐぅ。


「起きて、あっ」

「ぐふう!」


 あ、ああ……

 目の前に火花が飛んだ気がした。

 シロとアオは、更に俺の事を揺すってバランスを崩した。

 そしてシロの膝が、俺の鳩尾を直撃。

 布団越しとはいえ、かなりの衝撃だったぞ。

 

 悶える事一分。

 完全に目を覚ました俺は、ごめんなさいをしてきたシロとアオの頭を撫でつつ、身支度を整える事に。

 折角だから、何故かアイテムボックスに入っていた紅茶を飲む事にしよう。

 こういう時に、水魔法も使えるのはありがたいな。

 魔道コンロにやかんを置いて、水を出して温める。

 その間に着替えをしてパンを出しておく。

 紅茶を入れて、パンとサラダを出してシロとアオと食べる事に。


「今日は講座だっけ?」

「そうだよ。僕達の様に初めて冒険者登録をした人が対象なんだ」

「一体何を教えてくれるのかな?」

「うーん、実際に行ってみないとわからないなあ」


 昨日寝る前に冒険者登録した時に配られた冊子を見たけど、特に講習の事は書いてなかったのだよね。

 こればっかりは、冒険者ギルドに行ってから確認する様にしないと。

 

「ごちそうさま」

「はい、お粗末様です」


 シロとアオも食べ終わったので、食器を生活魔法で綺麗にしておく。

 余ったお湯を冷まして、ホットタオルにして顔を拭くとだいぶスッキリした。


「忘れ物はない?」

「大丈夫だよ!」

「よし、冒険者ギルドに行くか」

「おー!」


 まだ時間的には早いけど、シロとアオがウズウズしているので冒険者ギルドに行くことにした。

 忘れ物を確認して、部屋の鍵をかけて準備万端。

 一階に降りると、カウンターで店主が作業をしていた。


「おはよう御座います」

「おはよー」

「おお、早いな」

「シロとアオが早く起きてしまって」

「ははは、寝坊するより全然良いって事よ。気をつけてな」

「はーい」


 店主に見送られて、早朝の街に出る。

 流石に早朝は少し寒いのだが、シロと繋いでいる手は温かい。

 既に市場は多くの人が行き交っていた。


「凄いね、人がいっぱいだね」

「冒険者だけでなく、街で働いている人もご飯を買っているみたいだね」


 屋台みたいなお店が多く、良い匂いがしている。

 僕は幾つか買っておき、お昼ごはんにしようとアイテムボックスの中にしまっておく。

 さて、冒険者ギルドは宿と市場の直ぐ側なので、あっという間に到着。

 僕とシロは、冒険者ギルドの扉を開けた。

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