千百三十四話 みんなで港に移動します

「みんな、自分で釣ったお魚料理は美味しいかしら?」

「「「おいしー!」」」


 グサッ。


 昼食の時間になったので、全員水着から普段着に着替えます。

 昼食時にティナおばあさまが美味しそうに魚料理を頬張るミカエルたちに話しかけていたけど、結局一匹も魚を釣ることが出来なかったジンさんは思わずガクリとしてしまった。

 あれだけ高級品の釣り竿を用意したのに、完全に見掛け倒しに終わってしまった。

 きっと、レイカちゃん達に大人の威厳を見せようとしたのだろう。


「はあ……」

「まあ、こういう日もあるよ。余り気にしない方がいいわよ」


 ジンさんの余りの落ち込みぶりに、流石にレイナさん達も誂う事はしなかった。

 普通に落ち込んでいるジンさんを慰めていたけど、今日のジンさんは中々復活しないかもね。


「お兄ちゃん、今日はこの後で観光船に乗るんだよね?」


 一足先に昼食を食べ終えたリズが僕に話しかけてきたけど、お昼からは湖の港に移動して観光船に乗り込む予定です。

 湖を観光船で回る時間は三十分だけど、その後は間違いなくちびっ子たちはお昼寝タイムに突入するでしょう。

 なので、今日は観光船を乗り終えたら終了の予定です。


「観光船は、貸切じゃなく普通に一般のお客さんもいるからあまりはしゃがないようにね」

「「「はーい」」」


 僕はリズやミカエルたちに注意したけど、実は観光船を借り切った方がいいのではという提案もありました。

 でも、それだと通常の運行時間に観光船に乗船しようとした人が乗れないので、普通にしてもらいました。

 もちろんケイマン男爵領兵の警備は受けるけど、スラちゃんたちもいるしみんなの安全は問題ないですね。

 観光船に乗る前にコテージを片付けて、みんなで歩いて港に移動します。


「「「わあ、とっても大きいお船だ!」」」

「グルル」


 ドラちゃんも僕たちと一緒に道を歩いていると、程なくして港に到着しました。

 港にはとても大きな観光船が係留してあり、ちびっ子たちとドラちゃんは船を見ただけで大はしゃぎだった。

 チケットは事前に購入してあるので、僕たちは人の列に並びます。

 残念ながらドラちゃんは体の大きさの関係で観光船に乗船できないので、港で僕たちを見送ります。

 でも、ドラちゃんのことだからきっと空を飛んで観光船と並走しそうですね。


「すごーい、ドラゴンだ!」

「大きいなあ!」

「グルル」


 そして、ドラちゃんの周りにはケイマン男爵領に住む子どもたちが興味深そうに集まっていました。

 ドラちゃん自身も小さな子どもと遊ぶのに慣れているので、一緒になって遊んでいますね。

 その間に、僕たちが乗船する番になりました。


「「「お願いしまーす」」」

「はい、確認しました。どうぞ中に入ってください」

「「「はーい」」」


 ちびっ子たちが意気揚々と係の人にチケットを見せていて、係の人もにこやかに対応しています。

 きっと、他にもこういうウキウキしている子どもといっぱい接していたのでしょうね。

 僕たちもチケットを見せるけど、よく見ると船内が少し慌ただしくなっていました。

 王族などが乗船するってあって、きっと色々なことを確認しているんだね。


「「「ドラちゃん、行ってくるねー」」」

「グルル」


 まあ、その王族を含むちびっ子たちは観光船を楽しむことで頭がいっぱいだし、普通にしてもらえば問題ないと思いますよ。

 ドラちゃんもちびっ子たちに手をフリフリとしているし、港でも飛竜がいても特に問題なさそうです。

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