千三十三話 未来の近衛騎士候補?

 ちなみにガッシュ男爵家や他の貴族家が犯罪組織と繋がっている可能性も調べたけど、犯罪組織と手を組んでどうこうしていることはなかったという。

 そこまでのことをする財力もないというのが、本当のところらしい。

 しかも、犯罪組織側がガッシュ男爵家一派は危ないから相当馬鹿な犯罪組織以外は接触することすらしないそうです。


「えっ、そうなると入園料を払うこともできないのではないですか?」

「それは大丈夫だろう。財務状況を調べたが、流石に入園料を払うだけの資産は余裕である。ただ、あの夫人を見れば分かるように、身の丈に合わない贅沢をしているがね」


 サザビーズ侯爵が呆れながら説明をしたけど、入園説明会に現れたあの夫人はある意味凄かったからなあ。

 絶対に、お金の節制とかはしていないだろうね。

 他の貴族が全て入園料を納入していることを考えると、最悪入園料を払わないことも想定しないと駄目だろうね。

 期限猶予などもあるらしいけど、夫人の持っている宝石の一つや二つ売り払えばいい気がするよ。

 もちろん、勝手にはできないけどね。


「その方法は、普通に考えておる。貴族が入園費用が払えないのなら、相当のものの差し押さえをすることも可能じゃ」


 あらら、宰相は既に差し押さえの準備もしているんだ。

 因みに、ガッシュ男爵以外の一派のものは分納手続きをしているそうです。

 こういうふうに、きちんと手続きすればいいと思うんだけどね。

 そして、サザビーズ侯爵から全く別件の話を振られました。


「ティナ様が、剣技特待生の三人は大いに伸び代があると申しておった。アレク様から見て、三人の腕前はどう見えたのか教えてもらいたい」

「僕から見ても、三人はいい腕前に見えました。あのレイカちゃんの攻撃をさばいていたので、特に動体視力はいいと思います。身体能力強化の魔法と剣技を磨けば、きっと一級の剣士になれると思います」

「ふむ、アレク様から見てもまだ伸び代があると思うのか。伸び代があると無しでは、我々の評価も変わってくる。今度、三人を軍の訓練に招待しよう。場合によっては、定期的に訓練に参加させよう」


 軍としても、有望な人材を確保したいのでしょうね。

 僕も訓練を受けるのはいいことだと思うし、軍務卿もこの件は了承しているみたいです。

 サキさんやレシステンシアさんも訓練に参加させたいらしいので、サンディやメアリも参加するのもいいかもしれない。

 でも、エレノアはともかくとしてリズを訓練に参加させるのはちょっと危ないかも。

 リズはいつもスラちゃんと手合わせしているし、暫くはこの組み合わせでやってもらいましょう。

 大体の話はこんな感じみたいです。

 すると、最後に宰相が僕にあることを話してきた。


「そうそう、王都での五歳の祝いの調整がある。今年は二人の王子がいるというのもあり、かなりの数の子どもたちがやってくる。そこで、学園最上級生の成績優秀者に経験を積ませる意味も含めて手伝わせることにした。学園側は、生徒会長でもあるルーカス殿下が窓口になるそうだ」

「僕の周りでも、ルカちゃんとエドちゃんの他に辺境伯家の双子ちゃんとジンんさんのところもありますもんね」

「その辺も考慮したとしても、間違いなく昨年の倍の人数となるだろう。魔導船も各地に派遣してつつがなく対応させるが、場合によっては空間魔法持ちが対応する可能性もある」


 この辺も、昨年王都の五歳の祝いを行った際に課題になっていたことです。

 昨年は僕がメイン担当だったけど、今年はナッシュさんたちが行ってくれます。

 もちろん、僕も補助をするけどね。

 リズたちも手伝う気でいたけど、やりすぎない程度に頑張ってもらいましょう。

 軍務卿とサザビーズ侯爵は、次の会議のために宰相執務室を後にしました。


「そうそう、娘も今回の特待生は優秀だと言っていた。双翼の天使様に憧れて負けないようにと頑張ったらしいし、悪いことではないな」

「でも、この前の入園説明会の時にリズが色々言っちゃったから、特待生に限らず殆どの人は僕は変人だと思っていますよ」

「ははは、確かにアレク君の話を聞けば理解が追いつかないのはしょうがない。悪い噂ではないから、気にしなくていい」


 宰相が景気よく笑っていたけど、確かに僕に関する情報量が多すぎて、他の人は理解できていない感じだったよね。

 次会った時になんて言われるか、ちょっと気にしておこうっと。

 そう思いながら、僕も仕事を再開しました。

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