千二十八話 みんなでお鍋です

 昼食ができたというので、辺境伯様はこれで屋敷に帰るそうです。

 みんな揃って食堂に行くと、既にスタンバイしている人たちがいましたり


「「遅いよー!」」

「「「そーい」」」


 アリア様とアレクサさんとともに、ルカちゃんとエドちゃん、そして王家、辺境伯家、ジンさんのところのちびっ子が僕たちを待っていました。

 間違いなく、ネコちゃんの毛の中で休んでいるマジカルラットがみんなを連れてきましたね。

 メイちゃんとリラちゃん、それにケンちゃんとレオンちゃん、更にはもう少しで歩き始めそうなセオちゃんもいますね。

 そして、準備しているのはイノシシ肉のしゃぶしゃぶです。

 今は夏だからとても暑いけど、我が家には冷たい空気を出す魔導具も設置してあってとても快適です。


「じゃあね、好きなところに座っていいよ!」


 我が家でしゃぶしゃぶを含む鍋料理をする時は、みんな仲良く一緒に食べるのが基本です。

 僕たちはだいたい座る位置が決まっているけど、ミカエルたちも間に入って一緒に食べます。

 しゃぶしゃぶは初めての人もおおいけど、経験者がどんな感じでやるかを見せます。


「あんまりしゃぶしゃぶし過ぎない方が、お肉が柔らかくて美味しいんだよ。お野菜とか、キノコとかもとっても美味しいんだよ」


 リズが一生懸命説明しながら実践しているけど、マロード男爵領秘伝のつけタレがあるから少しくらい茹ですぎても美味しいですよ。

 ということで、さっそく食べ始めましょう。


「「「美味しい!」」」


 みんな、初めての食感込みでとても美味しいと絶賛していますね。

 思わず、リズたちだけでなくミカエルたちも満面の笑みです。


「こんなお肉の食べ方があったなんて、私初めて知りましたわ。タレと相性も良いですし、とても美味しいですわ」


 侯爵家令嬢でもあるレシステンシアさんは、いつもの歯ごたえのあるお肉ではなく柔らかくて食べやすいお肉にびっくりしています。

 薄くて食べやすいお肉ってのもあるので、一歳児組ももりもりとお肉を食べていますね。

 そして、食事マナーなんて特にないので、孤児院組も楽しそうに食べています。

 孤児院は小さい子とも一緒に食べているので、ミカエルたちがいても全然平気です。


「ふふふ、この場にいるものが将来国を支えることになるのね。仲が良くて良いことだわ」

「ええ、そうね。若くて活気があって、とても良いことね」


 アリア様とティナおばあさまも、仲良く昼食を食べている僕たちを見て目を細めていました。

 すると、アリア様がお肉をもりもりと食べている二人に声をかけました。


「ルカとエドも、みんなの入園式では元気よく挨拶しないといけないわね」

「おお! 僕、頑張って挨拶するよ!」

「エドも、頑張るよ!」

「えーもー!」


 何故かエリちゃんまで元気よく手を挙げていたけど、この分だと一緒についてきそうですね。

 今まで僕が入園式の挨拶をしていたけど、これからはこの三人が来賓として来そうです。

 そういう意味だと、五歳の時からやっていた入園式の挨拶も一旦終わりなんですね。


「ふふ、アレク君は卒業したら直ぐに入園式と卒園式の挨拶に戻りそうね」

「それは大丈夫ですよ。やる気満々の三人が頑張ってくれるはずです」

「確かにそうかもしれないけど、アレク君の場合は学園長にもなるかもしれないわ」


 あの、ティナおばあさま、そんな不吉な話をしないで下さいよ。

 ただでさえ、学園にいる間も副宰相として学園担当をすることになっているんですから。

 ちょっと落ち込む僕を尻目に、他の面々は楽しくしゃぶしゃぶを食べていました。

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