九百九十八話 休憩時間
暫くすると、着替えたリズたちがこっちにやってきた。
エレノアは騎士服で、リズたちは冒険者服です。
「お兄ちゃん、着替えたよー!」
「こっちの方が、動きやすいの」
動きやすい服装に着替えて、全員いい表情をしていました。
やっぱり筆記試験を乗り越えたのが大きいみたいです。
ちなみに、実技試験で使う木剣は事前に用意したものを使うので、僕たちがいつも使っている木剣は使用しません。
そんな中、リズがあることを聞いてきました。
「ねえ、お兄ちゃん、他の人とお喋りしていてもいいかな?」
「時間になるまで体育館にいるんだったら良いよ」
「よーし、お友達いっぱい作るぞ!」
何ともリズらしい理由だけど、仲良くする分なら問題ありません。
さっそく、色々な人に話しかけていきました。
それこそ、貴族や市民など全く関係ないですね。
特に市民の人たちは、王族や双翼の天使様から話しかけてきたのでとっても盛り上がっていました。
「ふん、いい気になって」
「そうだそうだ、結局剣技は大したことないんだろうな」
一方、ようやく復活したカンニングなどをした貴族は今度は僕たちは剣技は大したことないと思っていた。
僕的には、人のことを気にする前に自分のことを気にした方が良いと思いますよ。
このままでは、一番下のクラスにいくのは間違いないですから。
中には木剣を持ってきていて練習をしている人もいるので、ぜひ見習って欲しいです。
「それでは、時間になりましたので忘れ物のないようにして体育館から校庭に移動してください」
先生のアナウンスで、一気に人が移動し始めた。
リズたちは、仲良くなった人と楽しそうに話をしていた。
リズの明るさは、ある意味転生の才能だよなあ。
そして、ぶつぶつと何か言いながらカンニング組が着いてきた。
うん、これは良からぬことを考えていそうだ。
でも、もう手は打ってあるけどね。
説明する先生の前に受験生が並んだところで、実技試験の説明をします。
「これから実技試験を開始します。相手役の人と三分間手合わせして、その様子を採点します。三分の間でしたら何回も挑むことができますので、諦めずに頑張りましょう」
「「「はい!」」」
実は、実技試験は単に剣技だけを見るものではない。
諦めない姿勢や、どれだけ真面目にやるかなども評価対象に入ってきます。
筆記試験ではかれない項目も、実技試験で確認します。
ということでさっそく準備をするのですが、ある人たちだけ特別対応です。
「なお、筆記試験でカンニングが見つかった人については、ルーカス生徒会長が自ら相手をしたいと申し出ております」
「「「げっ!」」」
カンニングをした人の数が多いので、ルーカスお兄様はちょっと怒っているんだよね。
もちろん真面目に相手をするつもりだけど、カンニングした面々は顔を真っ青にしていた。
そして、もう一人特別対応の受験生がいます。
「エリザベスさんは、一番最後にアレクサンダー副宰相が相手をすることになりました」
「おお、そうなんだ! ふふふ、リズがお兄ちゃんを倒しちゃうよ」
この中ではリズが飛び抜けて強いので、僕かジンさんが相手をすることになりました。
じゃんけんの結果、僕が相手をすることに……
リズが滅茶苦茶やる気を見せているので、僕的にはとても不安です。
そして、「双翼の天使様がお互いに戦うよ」とか、「ゴブリンキングを倒す力ってどのくらいなんだろうか」などの声が聞こえました。
僕としては、そこまで本気でやるつもりはないですよ。
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