九百七十五話 赤ちゃんのお世話と大量に出てきた証拠

 ということで財務監査を始めないといけないのだけど、カノープス男爵夫人に立ち会って貰わないといけないので赤ちゃんの面倒を僕たちで見ないといけない。

 というのも、どうもこの赤ちゃんの面倒を見ていた使用人もカノープス男爵と繋がっていた可能性が高いと兵に連行されて行っちゃいました。

 僕とジンさんも何かあって呼ばれれば席を外すので、ここは助っ人を頼むことにした。


「「「お宝探すよ!」」」

「久々に見るゲスな領主なのね。私がこの場にいたら、顔面をぶん殴ってあげたわ」

「私もよ。貴族云々じゃなくて、女性の敵ね」


 ということで、結局当初来たいと言った面々を呼ぶことになった。

 エレノアはどうしようかなと思ったら、スラちゃんが普通に呼んでいた。

 リズたちは、財務監査官と一緒に意気揚々と部屋を出て行った。

 そして、レイナさんたちもカノープス男爵夫人と一緒に部屋を出て行った。

 更に、カーセント公爵とサギー伯爵もその後に続いていった。

 あれ?

 これってもしかして。


「あぶー」

「ジンさん、結局僕たちで赤ちゃんの面倒を見る事になったのでは?」

「助っ人に呼んだ面々が、全員監査に付き合っちまったな。まあ、メインは監査官だから任せるとするか」


 ということで、僕とジンさん、それにプリンで赤ちゃんの面倒を見る事にしました。

 結構好奇心の強い赤ちゃんで、僕たちの顔や手をにぎにぎとしてきます。

 プリンも赤ちゃんに叩かれたりしていたけど、どうもそれが面白いのか何回もしていました。


 びよーん、びよーん。


「キャッキャ!」

「いひゃい、いひゃいよ」


 ジンさんの顔のパーツを引っ張って遊んだり、ボールで遊んだりしていました。

 これだけ大はしゃぎしてくれるなら、面倒をみたかいがありますね。

 すると、今度はリズたちが応接室に戻ってきた。


「おにーちゃん、交代だよ!」

「呼んできてって。赤ちゃんと遊ぶの」


 どうやら、何か見つけたみたいですね。

 ということで、僕たちは赤ちゃんをリズたちに任せてカーセント公爵の方に行きました。

 皆がいたのは小さな部屋の前で、中を覗くとまあビックリです。


「これは凄いですね……」

「随分と昔の金も入っているな。よくもまあ、ここまで貯めたものだ」


 屋敷の開かずの間といわれる部屋にいるのだけど、複数の壺の中にたくさんのお金が入っていました。

 長年蓄えていたのは間違いないのだけど、数えるのも嫌になるレベルですね。


「利益の一部を帳簿外管理をしていたのだろう。確かに帳簿上は赤字だったが、この分を足すと余裕で黒字だな」


 カーセント公爵も、ため息がでるレベルでした。

 この部屋はカノープス男爵夫人も入れないみたいで、少ないお金で領内の運営を任せていたのでしょう。


「兵からの報告だと、愛人の家から多数の貴金属が出てきたという。かなり貢いでいたのだろう。いずれにせよ、正式な税収を出してそれから話をしないとならない」

「はあ、こういう統治をしているところがあるとは。ある意味、ため息が出てきますよ」


 サギー伯爵のため息もよく分かるけど、結局投資をせずに貯蓄だけしていたんだね。

 いずれにせよ、ここからは財務監査の結果如何なので、僕たちは再び応接室に向かいました。


「すー、すー」

「お兄ちゃん、お帰り!」

「赤ちゃん、遊び疲れて寝ちゃったの」


 リズたちと遊んで満足したのか、赤ちゃんはソファーですやすやと寝ていた。

 この子も、こんなに遊ぶことはなかっただろうね。

 暫くの間、応接室にはほっこりとした空気が流れていました。

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