転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

九百六十五話 今日はマロード男爵領へ

　今度は、林業が盛んなマロード男爵領に向かいます。

　マロード男爵領は辺境伯領の隣なので、辺境伯領にも木材を輸出しています。

　なので、王都の衛星都市建設で使う分も頼みました。

「職人も木材加工で忙しいと言っていたが、木材もある程度は間引かないと駄目なんだ。日が入るようにして、そこに新たな木を植えるんだよ」

「「「へー」」」

　マイク様が、リズたちに植林なども教えていました。

　ただ木材を伐採するのではなく、その後のことまで考えていますね。

　ちなみに、必要な木材は僕とスラちゃんで既に運んでいます。

　なので、今は屋敷でお喋りタイムです。

　そして、ミカエルたちは、別室でマイクさんの息子のライアンちゃんと遊んでいます。

　年齢的には、アレクサさんの娘のアンリちゃんといっしょなんだよね。

　前にどっかの貴族が生まれたばかりのライアンちゃんに嫁を出すなんて話もあったけど、今はそういうのはないそうです。

「今日は温泉には入れないの……」

「とても残念なの……」

「はは、まあ今日は仕事で寄っただけだし、後でお土産を買って帰るしかないね」

　リズとエレノアはとても残念がっていたけど、今日はこの後直ぐにマロード男爵領から王都に帰るので、いつもの温泉宿には寄れません。

　後で、お鍋セットでも購入しましょう。

　まだ春前だから、お鍋は時期的にも大丈夫ですね。

「しかし、各地で都市の拡張をしているけど、そういう恩恵に預かるのはほんの一部だね。とくに、人が集まらない都市もたくさんあるから、そういうところでは発展は難しいだろう」

「王都や辺境伯領の周辺は勝手に人が集まるけど、確かに産業がないところには人は集まらないですね」

「仕事がないと、人が集まっても意味はないからね。逆にいうと、王都はその状況にあった。衛星都市建設が始まれば、仕事も回るようになるけどね」

　マイク様も色々な情報を集めているけど、農業にしても工業にしても仕事がないとお給料はもらえません。

　冒険者だって依頼は限られているし、命を落とす可能性が高い仕事です。

　それに、誰でも直ぐに出来る仕事ではないですよね。

「うちの領地も、段々と人が増えてきている。やっぱり温泉という産業があるのが大きい。と言っても、予算も限りがあるから順に対応しているけどね」

　きっとマイク様は、マロード男爵と日々色々なことを考えて対応しているんだよね。

　ちょっと苦笑しながら話をしていたけど、マロード男爵領の未来はとても明るいと思っています。

　すると、リズたちは少し飽きてきました。

「ねえ、難しいお話は終わり？」

「ライアンちゃんと遊んできたいの」

「いいよ、行ってきても」

「「「やったー！」」」

　リズたちは、席を立って一目散にミカエルたちがいる部屋に向かっていきました。

　そんなリズたちを見て、マイク様も思わず苦笑していました。

「ははは、小さいときからリズちゃんは変わらないね。本当に元気いっぱいだ」

「すみません、小さい嵐みたいで」

「言い得て妙だね。でも、そこがリズちゃんらしさだと思うよ」

　確かにリズが急にお淑やかになったら、それはそれで怖いなって思っちゃうね。

　こうして、マロード男爵家への挨拶も終わり、僕たちは温泉街に寄って買い物をしてから帰りました。

　鍋の具材をたくさん買ったから、今夜の僕の屋敷ではみんなでお鍋を食べるだろうね。