九百五十二話 衛星都市をもっと建設することに

 午後は、王城からグロスターのおじいさまと内務卿が視察と監督に来ました。

 二人とも、もの凄い勢いで町が出来上がっていてとてもビックリしていました。


「うむ、これだけの早さで建設が進むのなら、王都の衛星都市建設にも参考になるのう」

「領都から馬車で一時間の距離だと、これだけの職人と冒険者が集まるのか。王都に限らず、他の地域でも参考になるぞ」


 二人はメモをたくさん取りながら、護衛とともに色々なところに出向いていました。

 そして、辺境伯様と合流して、今度は三人であーだこーだと話し合っています。


 シュイーン、ゴゴゴゴ。


「これで、二つ目の井戸は完成です」

「よし、じゃあ、汲み上げ用のポンプを設置するぞ」


 僕はというと、井戸設置箇所で土魔法を使って井戸を掘っていました。

 検証も兼ねるポンプ型魔導具が、職人の手によって設置されます。

 近くに川があるけど、やっぱり飲水用の井戸は必要だもんね。

 川も、この後魔法で護岸工事や浚渫を行って氾濫し難いようにします。

 ちなみに、僕やドラちゃんがどんな感じで土魔法を使ったかは、全部記録されて提出されます。


「アレク君、これだけの土魔法を使って疲れないのかい?」

「まだまだ全然平気です。おじいさま、お気遣いありがとうございます」

「アレク君が大魔法使いだと、改めて感じたよ。リズちゃんも凄いね」


 声を掛けてきたグロスターのおじいさまとともに、治療対応しているリズとエレノアたちの方を見ました。

 何かあっても現場で治療できるのは、職人さんと冒険者にとって安心材料です。

 だからこそ、多くの人が集まるのでしょうね。


「運営スタッフが充実すると、建設スピードも上がる。多すぎても駄目だが、ある程度はいないと駄目だな」

「新人教育も兼ねて、一年職場にいたものも混ぜるとしよう。この際だから、都市の人数も多くするか。アレク君たちがいれば、一年あれば下地はできるな」


 あの、グロスターのおじいさまはともかくとして、内務卿が不穏な事を言っているのですが……

 確かに王都の人口問題は喫緊の課題だけど、僕たちの魔法全開で建設するのでしょうか。

 でも、リズたちに話をしたら、絶対にやると言うでしょうね。

 ちなみに、周囲を土塁と木の柵で囲ってあるので、動物や魔物対策はバッチリです。

 ということで、僕はグロスターのおじいさまと内務卿を王城に送りつつ、会議室に向かいました。


「それだけのスピードで建設が進むのなら、早急に建設作業の実施をしよう。都市ができる利益を考えれば、冒険者などに払う費用など些細な問題だ」


 陛下も、報告を聞いて衛星都市建設推進を宣言しました。

 というか、この言い分だと近い内に作業が始まりそうです。

 更に、内務卿が凄いことを言ってきました。


「王都から伸びる四つの街道に、衛星都市を建設します。王都の防衛力を高める狙いもあります」

「ふむ、その案でいこう。軍と共同で計画を策定し、建設工事を行おう」


 衛星都市は一つって聞いていたのに、いつの間にか四つに増えました。

 全員、僕の方を見てニヤリとしないで下さいよ。

 トホホと思いながら、僕は辺境伯領の町建設現場に戻りました。


「四つも作るんだ! リズにお任せだよ!」

「エレノアも頑張るの。王都の事だもん!」


 そして、案の定リズたちに説明すると俄然とやる気になっていた。

 スラちゃんもプリンも、全く問題ないといっています。

 しかも、建設規模はこの町よりも大きくて、防壁も作らないとなりません。

 でも、僕の予想だととんでもない町ができそうです。

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