転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

九百五十一話 新しい町の建設状況は？

　今日は、町の建設現場の視察とお手伝いを行います。

　もう少ししたら卒業式と入園式の打ち合わせが始まるので、今のうちに出来ることを頑張ります。

　カンカンカン。

「わあ、もうお家を作り始めているよ！」

「すごい早いね！」

　区画整理されたところでは、既に職人によって家が建てられ始めていた。

　石畳にするところも、少しずつ敷かれ始めていた。

　というのも、ここは辺境伯領の領都から馬車で一時間もあれば来ることができるので、とっても交通の便が良い。

　冬ってこともあるので、多くの冒険者も作業を行なっていた。

　ノエルさんの土魔法で仮の冒険者ギルド出張所もできていて、冒険者も手続きがとても楽だと好評です。

「キュー」

　シュイーン。

「おお、小さいのサンキューな」

「キュッ」

　そして、何よりもポッキーが連日大活躍していた。

　マジックバッグよりもポッキーのアイテムボックスの方が大量にものが入るので、領都から毎日大量の品物を届けていた。

　討伐されないように念のためにと、辺境伯家の家紋が縫われたマントみたいなものを羽織っているけど、今や職人さんの間でも普通に一緒に働いている仲間の認識だった。

　更に、もう一匹活躍しているものがいた。

「よっしゃ、じゃあこの辺をやってくれ」

「グルル」

　シュイーン、もこもこもこ。

　ドラちゃんも、土魔法要員として大活躍していた。

　というのも、ノエルさんが王都に研修で戻っていていないので、代わりにとドラちゃんが張り切っていた。

　魔法の良い勉強になるからと、他の人たちも勧めています。

　今や、朝になると僕の屋敷から飛竜が飛び立って町の建設現場に行くのが恒例の光景となっています。

　建設作業員や冒険者も、二匹に負けないぞと張り切っています。

　そうなると、出てくるのが怪我人です。

　なので、今日僕たちは仮の代官所の前で治療と炊き出しを行います。

　スラちゃんは、遊撃部隊で色々なところのお手伝いをする予定です。

「しかし、あの小さかったアレクたちももう十一歳になるのか。俺たちも歳を取るわけだな」

「ええ、そんなことはないですよ。みなさんまだ若々しいですよ」

「いやいや、最近髪に白髪も混じってきたぞ。それを見ると、歳をとったと実感するな」

「俺は、酒を飲める量が減ってきたぞ。昔の方がたくさん飲めたな」

　小さい頃からの顔見知りの冒険者も多く、僕たちが大きくなったと感慨深そうに話してきました。

　僕の場合は、一緒にいるミカエルが大きくなっていくのを見ると僕たちも成長したって実感します。

　そのミカエルも、ブリットと共に怪我をした人々の治療を行なっています。

　リズも僕と一緒に治療班なのだけど、エレノアは別の作業をしていた。

「よし、エレノアの嬢ちゃんはこの箱に氷を作ってくれ。ついでに、建物も冷やしてくれると助かるぞ」

「ふふ、エレノアにお任せなの」

　エレノアは、お得意の氷魔法を使って食料を保管している建物を冷やしていた。

　まだ冬の時期だけど辺境伯領は日中暖かくなので、傷まないための工夫です。

　エレノアも、自分だけの任務を与えられてやる気満々だった。

「辺境伯様、予定よりもだいぶ早く進んでいますよね」

「職人が多く集まっているのもあるだろう。領都は建築するスペースも限られているが、ここならたくさんの仕事がある。更に、領都からも近いという利点もある」

　僕たちと一緒に現場監督をしにきた辺境伯様も、満足そうに周囲を見回していた。

　こうして、午前中は何事もなく作業が進んでいきました。