九百二十五話 みんなで頑張っての新郎新婦入場
「皆さま、そろそろお時間です」
「じゃあ、先に行くわね」
「楽しみにしているわ」
少し談笑していたところで、係の人が声をかけてきた。
新婦のエマさんとオリビアさん、それに役目がある僕たちを除いて同級生の面々が部屋を出ていきました。
「じゃあ、私たちも教会の入り口に行きましょう」
「みんなも準備をしないと行けないわね」
「「「はーい」」」
僕たちも、エマさんとオリビアさんとともに教会の入り口に移動します。
すると、キースさんとともに珍しく緊張している辺境伯様の姿があった。
そっか、新郎の親として結婚式に二度でているけど、新婦の親として結婚式に出るのは初めてだったね。
「お父さん、なに緊張しているの?」
「お兄様の結婚式に参加していたでしょう? 今更ですわ」
「流石に、バージンロードを歩くことはなかったから、この景色を見たらね」
娘にたしなめられても、辺境伯様はハンカチで汗を拭っていた。
というか、娘二人の方が平然としているよ。
「では、領主様は教会の中にお入り下さいませ」
「よしっ、じゃあ先に行ってくるよ」
「「「頑張ってね!」」」
キース様が係に連れられて教会の中に入って行ったけど、キース様も緊張はしているけど慌てた様子もなかった。
新郎新婦は、特に問題なさそうですね。
「じゃあ、みんなも準備は良いかな?」
「「「大丈夫!」」」
エマさんに言われて、フラワーボーイとフラワーガールを務めるミカエルたちも元気よく手を挙げていた。
既に花びらが入っているかごを手にしているし、リングボーイとリングガールを務める辺境伯家の双子ちゃんも結婚指輪が乗ったピローを大事に持っています。
一歳児トリオも一緒にフラワーボーイとフラワーガールをするので、僕が一緒についてあげます。
こちらも準備万端で、辺境伯様も深呼吸をして気持ちを整えていた。
「では、そろそろ始まりますので宜しくお願いいたします」
「「「お願いしまーす!」」」
いよいよとなり、係の人が声をかけるとミカエルたちが元気よく声をあげていた。
うん、気持ちは分かるけど主役はあくまでもエマさんとオリビアさんだよ。
そして、教会の扉がギギギと音を立ててゆっくりと開いた。
エマさんとオリビアさんも、辺境伯様の両脇に並んでいて腕を組んだ。
「それでは、新婦の入場です。皆さま、大きな拍手で迎えて下さいませ」
「「「わー!」」」
アナウンスとともに、新婦と父親が深く一礼します。
大きな拍手とともに、これまた大きな歓声が三人を包んだ。
そして、ゆっくりと三人はバージンロードを歩き始めました。
「「「わーい!」」」
三人を挟むように、ミカエルたちそしてリズたちがバージンロードを清める為の花びらをまいています。
辺境伯家の双子ちゃんも、ニコニコしながら結婚指輪が乗ったピローを手にしています。
一歳児トリオも、一生懸命に花びらをまいています。
そして、バージンロード中央でキース様が三人を待ち構えていました。
「キース君、いやサギー伯爵。娘を、どうか頼む」
「はい。必ず幸せにします」
キース様と辺境伯様が、真剣な表情で見つめあってガッチリと握手を交わしていた。
そして、キース様は辺境伯様に一礼してエマさんとオリビアさんを受け取りました。
「「はい、どーぞ」」
「二人とも、ありがとうね」
そして、双子ちゃんも無事に司祭様に結婚指輪が乗ったピローを渡し終えました。
フラワーボーイとフラワーガールも無事に役目を終え、辺境伯様とともに新婦側の席に移動しました。
新郎新婦も祭壇前に辿り着いて、これで準備完了です。
いよいよ、結婚式の始まりです。
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