九百二十三話 いよいよ結婚式同日

 そして、いよいよ結婚式当日になりました。

 辺境伯家の移動は、エマさんとオリビアさんのマジカルラットのクリームとクッキーが張り切って行っています。

 お陰で、僕、スラちゃん、ポッキーが手分けして来賓を迎えに行けます。

 以前ジェイド様とソフィアさんの結婚式の時には僕一人で来賓を連れて来たので、一人と一匹で出来るのってとっても楽です。

 既に、一部の来賓やエマさんオリビアさん、そして新郎のキースさんの同級生はサギー伯爵家に前乗りしていました。


 シュッ。


「「とーちゃく!」」

「ちゃくー!」

「ガルル」


 最終便として、僕は王城から王家の方々を迎えにいきました。

 ルカちゃんとエドちゃん、それにネコちゃんに乗ったエリちゃんが元気よくゲートから飛び出してきました。

 そんな子ども達の様子を、王妃様、アリア様、ティナおばあさまが微笑ましく見ていました。

 なお、ルーカスお兄様、アリア様、ルーシーお姉様は先乗りしていて、エマさんとオリビアさんと話をしているそうです。

 そして、陛下はいつも通り王城でお留守番です。

 三人と一匹は、そのまま応接室に向かって行きました。


 ガチャ。


「おねーちゃん、お嫁さんになるんだよ!」

「花嫁さんだよ!」

「そう、それはめでたいわね」


 応接室にはちびっ子軍団が集まっていて、辺境伯家の双子ちゃんが一生懸命に来賓の貴族夫人にお話していた。

 小さい子がニコニコしながら話をするので、貴族夫人も思わずニコニコしながら話を聞いていた。


「「おはようございます」」

「ます」

「「「あっ、ルカちゃんとエドちゃんとエリちゃんだ!」」」


 応接室にお客様がいるので、三人はペコリと頭を下げていました。

 なにげに、ネコちゃんも頭を下げていますね。


「こ、これは王妃様、アリア様、ティナ様ではありませんか」

「今日は私たちが主役ではありません、普通の挨拶で十分です」


 貴族夫人が慌てて立ち上がって臣下の礼を取ったけど、王妃様もアリア様も、もちろんティナおばあさまもそこまで必要はないと言っていた。

 その間に、三人はミカエルたちのところに駆け出していった。


「ふふ、既に双子ちゃんはお祝いしたくてたまらないみたいですわね」

「小さい頃のアレク君とリズちゃんを思い出すわ。あの時も、ニコニコしながら一生懸命話をしていたわね」


 そして、アリア様とティナおばあさまは、ジェイド様とソフィアさんの結婚式の時の僕たちを思い出していた。

 あの時は、リズが一生懸命話をしていたもんね。

 この場にはアリア様が残ってくれるそうなので、王妃様とティナおばあさまは辺境伯様と先代夫人様のところに向かった。

 僕は、エマさんとオリビアさんの同級生が集まっている部屋に向かった。


 ガチャ。


「あっ、アレク様」


 僕の秘書のローリーさんもエマさんとオリビアさんの同級生なので、綺麗なドレスを着て楽しそうに談笑していた。

 すると、同級生たちがわらわらと僕の周りに集まってきた。


「アレク様、お久しぶりです」

「入園式での立派な挨拶を覚えておりますよ」

「あの小さくて可愛らしかった男の子が、こんなにも大きくなったんですね」

「そして、今やローリーの上司か。ローリーも結婚間近だし、時が流れるのは早いものだ」


 そっか、僕が初めて学園で挨拶をした人たちでもあるんだ。

 あの時は、僕もまだ小さかったもんなあ。

 そして、既にローリーさんの結婚式も決まっているから、その話で盛り上がっているんだ。

 おめでたいことが続くのは良いけど、男性の半分がローリーさんを見ながら悔しがっていた。

 ローリーさんはスタイル抜群だから、きっと学園の時はとてもモテていたんだろうね。


 ガチャ。


「あっ、お兄ちゃんいた!」

「アレクお兄ちゃん」


 ここで、部屋にリズとエレノアが入ってきた。

 二人とも入園式や卒園式によく顔を出すので、同級生に顔を知られていた。

 そして、今度は僕たち三人の話になった。


「三人とも小さくて可愛かったのに、今や男の子と女の子って感じだね」

「うーん、そうなのかな?」

「エレノア、大きくなったのかな?」

「なったわよ。初めて見た時は、幼いのにとても綺麗な女の子だったけど、今や普通に美男美女だわ」


 うん、主に女性陣が集まってキャッキャし始めたので、僕はこっそりと抜け出して男性陣と話し始めました。

 巻き込まれると、大変なことになりそうです。

 しかし、リズが僕の手を引っ張ってきたので抜け出せなくなりました。

 女性は、年齢に関係なくお喋りが大好きだと改めて痛感しました。

 因みに、キースさんの同級生に挨拶しても、あの小さかった子が大きくなったと、同じ感想を言われてしまいました。

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