九百二十二話 またまた花びらを集めます

 辺境伯領での五歳の祝いが終わったら、いよいよエマさんとオリビアさんの結婚式が近づいてきました。

 二人は辺境伯領の五歳の祝いが終わったら、サギー伯爵家に滞在して結婚式の準備を進めていました。

 僕とリズにとって二人は恩人でもあるので、できるだけのお手伝いをするつもりです。

 もちろんミカエルをはじめとするちびっ子軍団も、結婚式でお手伝いする気満々です。

 というか、ほぼフラワーボーイとフラワーガールは決まったのも当然です。

 そんな中、僕たちは結婚式で使うための花びらをたくさん集めるという依頼を受けました。

 領主夫人お披露目を兼ねてサギー伯爵領の町をパレードするので、当初の予定よりもたくさんの花びらが必要になりました。

 こういうお手伝いなら僕たちも大歓迎ということで、さっそくいつもの森の中に入っていきました。


 ごそごそごそ。


「たくさんお花が咲いているね!」

「一つの木の花びらを採り過ぎないように、まんべんなく花びらを集めるんだよ」

「はーい」


 ウキウキなリズに注意をしながら、僕も花びらをあつめます。

 今日は王家の人々は参加できなかったけど、ミカエルたちもいるので手は足りています。

 何よりも、マジカルラットが大活躍していて、木に登っては花びらをたくさん集めていました。

 ドラちゃんも花びらを摘もうとしていたけど、ポニさんたちによって敢え無く訓練を行うことになってしまった。


「あっ、ベリーがいっぱいなっているよ。そういえば、エマお姉ちゃんとオリビアお姉ちゃんがベリーパイを作ってくれたよね」

「リズとスラちゃんで集めたベリーを、たくさん分けてあげたよね」

「じゃあ、お家に帰ったらお兄ちゃんがベリーパイを作ってね」


 だいぶ懐かしい思い出を話しながら、ついでにベリーもたくさん集めます。

 この分だと、屋敷に帰ったらベリーパイを作らないとリズの機嫌が悪くなるぞ。

 でも僕が作るベリーパイは、エマさんとオリビアさんの作るベリーパイには及ばないんだよね。

 こうして、たくさんの花びらとベリーを集め終わったので、一旦冒険者ギルドに戻ります。


「辺境伯家から言われている花びらの量に達したので、これで依頼完了です」

「「「やったー!」」」


 引取所にたくさんの花びらを納品して、僕たちが受けた依頼は完了です。

 ミカエルたちもとても嬉しそうにしているし、僕も一安心です。

 では、屋敷に戻ってさっそくベリーパイを作りましょう。


「一緒にジャムを作ろうか。じゃあ、みんなでとってきたベリーを洗いましょう」

「「「はーい」」」


 何かお手伝いをしたいリズ達には、とってきたベリーを洗ってもらいます。

 沢山ベリーを採ったので、一気に全部洗いましょう。

 生食もできる程美味しいベリーだけど、ジャムにしてパンにつけて食べるのも美味しいです。

 ベリージャムは、焦がさない様に慎重に煮詰めていきます。

 その間に、パイ生地を作って、ベリーを並べていきます。


「今日は、出来たばっかりのジャムも使ってベリーパイ作ろうね」

「「「おおー」」」


 ベリーをパイ生地に並べてジャムをかけて、ちょこちょこと手を加えたら完成です。

 オーブンにでき上がったパイ生地を入れて、後は焼き上がるのを待つばかりです。


「じゃあ、お昼寝の後のおやつタイムで食べようね」

「「「はーい」」」


 ということで、ちびっ子軍団はミカエルの部屋に向かっていきました。

 その間に、台所を片づけて全て終了です。


「うーん、アレク様はお菓子作りも手際良いですわ。私とは、比較になりません」

「このくらいだったら、慣れれば誰でもできますよ。お菓子作りは、手順を間違わなければ誰だってできますし」

「いや、それは出来る人の発言です……」


 アリサさんもお菓子作りにチャレンジしているみたいだし、何事も経験です。

 リズも簡単なお菓子なら作れるし、頑張ればきっと良い物が作れます。

 そして、お昼寝から戻ったミカエル達と共にでき上がったベリーパイを食べたけど、みんな大喜びの出来だった。

 今度またベリーパイを作って、エマさんとオリビアさんに食べさせてあげたいな。

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