九百十七話 まだ結婚の話は早い?

 そして教皇国との会談の日になったけど、この日は聖女カレン様の希望で大教会前で炊き出しも行う事になっています。

 僕たちにとってはいつものことなんだけど、ブライアンさん達にとっては聖女様という雲の上の存在と一緒になります。

 なので、朝からドキドキしていました。

 因みに、僕がみんなを王都に連れてきたりしていたので、カレン様と外交担当のサイファ枢機卿はスラちゃんが迎えに行きました。


「カレンちゃん!」

「カレン様!」

「ふふ、二人は相変わらず元気ですね」


 大教会前にカレン様が現れると、カレン様が大好きなミカエルとブリットがさっそく満面の笑みで抱きついていきました。

 カレン様も、満面の笑みで抱きついた二人の頭を撫でていました。

 そして、レイカちゃんたちもカレン様の側に寄っていきました。

 うーん、カレン様があっという間にちびっ子まみれになってしまった。

 ブライトさんたちの紹介はリズたちがやってくれるそうなので、先に大教会の応接室でサイファ枢機卿と会談を行います。


「教皇国も、他国と同じく新しい犯罪組織が暗躍しております。いたちごっこになると思っておりますので、教皇猊下以下対策を強化しております」


 外務卿と一緒に話を聞いているけど、やっぱりどの国も悩みは同じみたいです。

 こっちも今頃は、ポニさんたちが沢山の不審者を捕まえていることでしょう。


「それでも、双翼の天使様が闇ギルドのトップを打ち倒したことは、多くの人から称賛されております。更に、現場を指揮したのが救国の勇者様というのもあります。教会の聖騎士と連携したということで、結果的に教会の権威も上がりました」

「その、僕としては教皇国内で軍事活動をして申し訳なく思っているのですけど……」

「全て事前調整を行ったことも公表されております。新たな説法や絵本へ、話を取り入れることも決まっております」


 うう、最近は大人しくしていたのに物凄く目立つことをしちゃったからなあ。

 外務卿もこればっかりは仕方ないといっているし、諦めるしかなさそうです。

 そして、意外な話も出てきました。


「あの元闇ギルドナンバーズのオカマがやっている二号店が、かなりの繁盛をしております。人手が足りないので、孤児院の年長者が店で働いております」

「なんだか、オカマさんらしいエピソードですね」

「姿かたちはあれですが、話は分かる方ですので。最近は、教会のシスターの恋の悩み事も聞いているらしいですよ」


 オカマさんのお店がどんどんと広まっていくのは間違いなさそうだし、福祉事業も兼ねているから周囲からも賞賛されているという。

 今度、オカマさんのお店にイヨをみせながら行ってみよう。

 後は外務卿とサイファ枢機卿が会談を続けるそうなので、僕は炊き出しの方に戻りました。


「あっ、お兄ちゃん帰ってきたんだ」

「僕の出る部分は終わったからね。リズ、ちゃんとカレン様にブライトさんたちを紹介できた?」

「ばっちりだよ!」


 治療班のリズが自信満々で答えているけど、炊き出しのスープを配っているブライトさんたちも特に問題なさそうに見えました。

 でも、ブライトさんとアリサさんの顔がちょっと赤いような気が。

 すると、カレン様が一言。


「アレク様、ブライト様とアリサ様の結婚式はいつでしょうか? その時は、私も参加しますわね」


 うん、再びの満面の笑みでこんなことを言われてしまった。

 あの、二人は婚約しているけど結婚は学園を卒業してからですよ。

 二人の顔が赤い理由は、この事が原因ですか。

 僕は、カレン様に色々と補足説明をして何とか理解してもらった。

 うん、後でリズにキチンと話をしないと。

 たぶんエレノアも同じ説明をしそうな気がするから、併せて説明しよう。

 そして、ジンさんに教皇国で凄いことになっていると説明したら、「はっ?」って表情をして固まってしまいました。

 多分、想定外のことで脳の処理が追いつかなくなったみたいですね。

 そして、破壊王のデス料理とピエロの尋問は、トップシークレットになっているものジンさんに伝えました。

 それは間違いないと、ジンさんも妙に納得していました。

 因みに、炊き出しは問題なく終了し、ポニさんたちも張り切ったので数多くの不審者を捕まえました。


「ガルル!」

「「「わーい」」」


 そして、ドラちゃんは相変わらず子ども達の相手をしていました。

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