九百十六話 ちょっと騒ぎすぎたかな?
そして、予定通り帝国との打ち合わせの日となった。
僕は王城に行ってから、皇城にゲートを繋いで帝国の関係者を迎えた。
「「リルムちゃん!」」
「リズちゃん、エレノアちゃん!」
仲の良い三人は、会うなり笑顔で抱きついていた。
本当に、昔から変わらないですね。
「アレクお兄ちゃんも、おはようございます」
「おはよう、リルム」
「えへへ」
そして、リルムは笑顔のまま僕に抱きついてきた。
僕も、笑顔でリルムの頭を撫でてあげた。
どうも家族の前では良いお姉ちゃんになっているらしいけど、僕たちの前では人懐っこい妹ですね。
「リルムちゃん、いまお家にいる人が来ているの。紹介してあげるね」
「とっても良い人だよ」
「リルム、楽しみだなあ」
こうして、三人は仲良く勉強部屋に向かって行った。
今日のリルムは王女らしい服を着ているから、フライトさんたちはかなりビックリするかも。
では、僕はその間にお仕事を行います。
宰相と外務卿と一緒に、会議室に向かいます。
「帝国でも、闇ギルド崩壊後は複数の闇組織が立ち上がり、頭を悩ませています」
「王国も、犯罪組織が乱立し縄張り争いしています。先日大規模な摘発があったばっかりですし」
「新しい闇組織も、何とか勢力を伸ばそうと貴族に近づいております。中々難しい問題ではありますな」
大きな組織を潰した事により、中小の組織が乱立して対立を深めるのはどこも同じ傾向みたいだった。
中々悩ましい問題で、最近は炊き出しの際に捕まる不審者の数が増えています。
「経済対策に雇用対策を進めておりますが、直ぐに効果が出ないのが悩ましいです。今は、インフラの更新工事に併せて多くの者を雇っております」
「王国も、スラム街の再編を行っている。少しずつだが、歩みを止めてはならない」
宰相も頭を悩ませているのが、スラム街の問題です。
需要に対して供給過多になっているので、どうしても人手が余っています。
しかし、どんどんと王都に人が流入するので中々その流れが止まりません。
中には、冒険者になって無理な仕事をして命を落とす者もいます。
辺境伯領みたいに、人が増えても仕事はまだあるところは稀みたいです。
「帝国も衛星都市みたいに、皇都の周囲に年を作る事を検討しております」
「もしくは、魔導船を使って人手が足らない所に集まった人を送るのも一つの手ですよね」
「アレク様の提案も一案だが、受け入れる側の問題もある。中々難しいことだ」
魔導船に乗れる人は限られるし、僕とスラちゃんがゲートを続ける訳にもいかない。
スラム街の件を上手く片付けないと、また犯罪組織が現れるし悩ましい問題です。
僕はここまでで、後は担当者同士で話し合いをすることになりました。
僕は、リルムの様子を見る為に勉強部屋に向かいました。
「「「カリカリカリ……」」」
すると、何故かリルムやブライトさんを含む全員が、勉強というか書き取りテストをしていました。
これは何だろうと思い、不機嫌そうなエリちゃんを抱っこしているジンさんに確認してみました。
「単純な話だった。全員が驚いたり騒いだりしたから、エリが泣いちゃったんだよ。それで、王妃様とアリア様の命で全員が勉強というなの罰を受けることになったんだ」
「うぅ……」
うん、こればかりは仕方ない。
きっと久々にみんなあったので、テンションが上がっちゃったんだろうね。
リルムにとって、エリちゃんは従姉妹でもあるし。
クズっているエリちゃんはジンさんにピタッとくっついて離れる気配もないし、暫くはこのままですね。
僕も巻き込まれると嫌なので、静かに勉強部屋から出ていきました。
こうして、昼食前まで勉強という名の罰が続いていました。
「疲れたよ……」
「当たり前です。嬉しいのはわかるけど、もっと落ち着きなさいね」
そして、帰る時にはヘロヘロになっていたリルムに叔母でもあるアリア様が苦言を呈していました。
今日はどうしようもないので、後日また王国に遊びにくることになりました。
因みに、一緒に罰の勉強を受けたからか、リルムとブライトさんたちは直ぐに仲良くなっていました。
怪我の功名とは、こういう事ですね。
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