九百十二話 ケイマン男爵領で水遊び

 ちょうど暑い季節になったので、みんなでケイマン男爵領に遊びに行くことになりました。

 湖には砂浜もあるそうで、毎年夏になると水遊びをする人が増えるそうです。

 観光船もあるけど、今日は水遊びがメインです。

 でも、その前に挨拶をしにいかないと。

 僕たちは、ケイマン男爵家の屋敷に向かいました。


「じゃあ、ヘイリーさんのお父さんに挨拶をしましょうね」

「「「おはよーございます!」」」

「はい、おはよう。みんな元気だね」


 ティナおばあさまに促されて、ミカエルをはじめとしたちびっこ軍団が元気よくケイマン男爵に挨拶をしています。

 ケイマン男爵も、律儀に一人ずつ頭を撫でていますね。

 因みに、今日はルカちゃんとエドちゃんも一緒に来ていて、お世話係としてルシアさんも来ていました。

 ドラちゃんも何故かついてきたけど、単に水遊びしたいだけでしょう。

 ということで、早速湖に向かいます。

 ケイマン男爵家のプライベートエリアを貸してくれる事になったけど、万が一の事を考えるとそちらの方が良いでしょう。


「「「うわー! おっきー!」」」


 湖を目の当たりにした瞬間、ミカエルたちのテンションがもの凄く上がっていった。

 もちろん、キチンと着替えてから湖に入りましょう。

 コテージみたいなのがあるので、男女別に着替えます。


「昔は、アレクはいつもリズに連れられて女子更衣室で着替えていたな」

「ジンさんとかが、いつも真っ先に逃げちゃうからですよ。リズなんて、未だに一緒に寝てますよ」


 僕としてはリズには早めに女の子としての自覚を持って欲しいんだけど、未だに駄目なんだよなあ。

 流石にお風呂に突入することはなくなったけど、赤ちゃんの頃からずっと変わらずに未だに寝ているんだよね。

 ブライトさんもヘイリーさんも、苦笑するだけで何も言わなかった。

 一緒に暮らしているから、何回もその場面を見ているんだよなあ。

 愚痴をこぼしながらも、着替えが終わったので湖に集まります。


「ねーねー、お兄ちゃんどうかな?」

「新しいの買ったの」

「二人とも、よく似合っているよ」

「「えへへ」」


 いつものやり取りなので、ここは無難に言わないと。

 リズとエレノアの水着を褒めると、別のところでも水着アピールがあった。


「あ、あの、ブライト様。私の水着はどうですか?」

「う、うん。凄く似合っているよ」

「そ、そうですか? 嬉しいです」


 何だろうか、アリサさんとブライトさんのやり取りは、見ているこっちがこそばゆくなるほど初々しかった。

 これが十歳のやりとりかと、レイナさんたちも思わず照れる程だった。

 僕たちはこんなだったけど、既に水遊びを始めている面々もいた。


 バシャバシャ。


「つめたーい! えーい!」

「やったなー! えいえーい!」


 波打ち際で、ちびっこ軍団が水を掛けながらはしゃいでいた。

 よく考えると、今日のちびっこ軍団の女の子はブリットとレイカちゃんだけだけど、みんな本当に仲が良いよね。

 ルシアさんとポッキーも混ざって水遊びしているけど、別の意味で水遊びしているのが一匹いた。


 ぷかぷか。


「グカー、グカー」


 なんと、ドラちゃんがお腹を上にして水に浮きながら寝ていたのだ。

 湖まで来て寝ているなんて、ある意味すごいですね。

 でも、残念な事にドラちゃんが寝られたのは僅かな時間だった。


「とつげーき!」

「「「わあー!」」」

「グッ、グオ?」


 バシャバシャ!


 なんと、いつの間にかポッキーが短距離転移でドラちゃんを波打ち際に連れてきていて、一斉にミカエルたちが水をかけ始めた。

 そして、いつもの追いかけっこに発展しました。


 ぷかぷか。


「ふわー、気持ちいいなあ」

「暑いから、冷たいのがちょうどいいよ」


 リズたちはというと、浮き輪もどきに乗って湖面をぷかぷかと浮いていた。

 僕たちも浮き輪に入って浮いているけど、こうしているだけでもとても気持ちいいですね。

 ティナおばあさまとレイナさんたちはパラソルの下に設置された簡易ベッドに寝っ転がっていて、こちらも気持ちよさそうにしていました。


 バサバサ。


「おとーさん、ドラちゃん捕まえて!」

「自分たちで捕まえろよ。全く……」


 そして、ジンさんはというといつの間にかレイカちゃんたちと共にドラちゃんの追いかけっこに加わっていた。

 ドラちゃんは空を飛んで逃げちゃったから、そう簡単には捕まらないだろうね。

 こうして、それぞれが思い思いに水遊びを楽しみました。

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