九百十一話 ヘイリーさんの実家であるケイマン男爵領に行くこと
今日は安息日で、ヘイリーさんの実家であるケイマン男爵領に行くことになりました。
一度ケイマン男爵に挨拶をした方が良いというのと、サギー伯爵領のお隣でエマさんとオリビアさんの結婚式にも参加するので招待状を持っていく事になりました。
同行するのは、僕とヘイリーさんにエマさんとオリビアさん、そして辺境伯様とプリンです。
他の面々は、イザベラ様と一緒に炊き出しと無料治療をするという。
一旦サギー伯爵領に行って先々代夫人と合流し、そこから一時間の馬車旅です。
ちゃんとケイマン男爵に行くと連絡してあるので、押しかけるような事はありません。
パカパカパカ。
「段々と湖が見えてきました。結構大きいですね」
「ケイマン男爵領の名前の由来となったケイマン湖です。川魚とかも獲れて、サギー伯爵領にも運んでいます」
レイクランド辺境伯領にあるレイクランド湖よりは小さいけど、それでも雄大な景色をたたえています。
湖畔にケイマン男爵領の町があり、漁船や観光船っぽいのも見受けられた。
確かに大きな町じゃないけど、とっても感じの良い町ですね。
そんな町中を馬車は進んでいき、無事にケイマン男爵家の屋敷に到着しました。
普通に屋敷の中に案内され、応接室に通されました。
「わあ、凄いなあ。屋敷からも湖が見えるんですね」
「屋敷から湖まで直ぐですから。僕も、よく釣りをしていましたよ」
応接室からも、湖の湖面がキラキラと光るのが見えてとても綺麗です。
でも、景色ばかりに気を取られていては駄目です。
キチンとお仕事をしないと。
ということで、ケイマン男爵が応接室に姿を見せました。
だいぶ背の高い男性で、ヘイリーさんとは違う濃い茶色の髪色だった。
「皆さま、お待たせして申し訳ない。それと、ヘイリーがお世話になっていて大変恐縮です」
でも、ヘイリーさんと同じくとても腰の低い人ですね。
早速エマさんが、結婚式の招待状をケイマン男爵に手渡しました。
「「まだ日にちはございますが、是非とも宜しくお願いいたします」」
「わざわざ招待状を持ってきて頂き、こちらこそ恐縮です。妻と共に参加させて頂きます」
結婚式はケイマン男爵領の隣のサギー伯爵領で行うし、移動も全く問題ありません。
もしかしたら、僕か誰かが迎えに行くかもしれないですね。
結婚式の招待の件はあっという間に終わり、ある意味本題のヘイリーさんの件に移ります。
「ホーエンハイム辺境伯様、息子はご迷惑をかけておりませんでしょうか？」
「いえいえ、そんな事はありませんよ。とても優秀ですし、陛下も将来が楽しみだと言っておられました」
「それを聞いて、私も安心しました。ヘイリーに家督を継がせることはできないのですけど、私としてもできる限りのことはしてやりたいと思っております」
ケイマン男爵は、とても賢くて気の利く人なんだ。
だからこそ、領地の統治も順調で安定しているんだ。
今は大変だけど、ヘイリーさんもこのまま勉強を頑張れば普通に官僚試験に合格すると思うなあ。
その後も何事もなく話は進んでいき、今日はこれで終了となりました。
先々代夫人をサギー伯爵領に送っていき、僕たちは炊き出しが行われている辺境伯領の教会前にゲートで移動しました。
炊き出しは大盛況で、今日も多くの人が並んでいます。
辺境伯領も、ドンドンと人が増えているもんなあ。
「お兄ちゃん、お帰り。ケイマン男爵領はどうだった？」
「リズ、ただいま。大きな湖とかあって、とっても綺麗だったよ」
治療の手が一段落したところでリズが僕に話かけてきたけど、盛り上がったのはこの人たちでした。
「大きな湖？！ 行きたーい！」
「「「いきたーい！」」」
ミカエルを始めとするちびっこ軍団が、一気に盛り上がっちゃいました。
とても綺麗な場所だったし、どこかのタイミングでみんなで行けたら良いですね。
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