九百話 デンバー男爵家への対応
屋敷に帰ると、なぜか疲れていた四人がいました。
何があったかを、侍従のお姉さんに聞いてみました。
「なんてことはないですよ。午前中は大量の薬草が採れて換金額に驚いて、午後は普通に勉強していたのに疲れてしまっただけですから。ブライト様付きの護衛にも、心得を説いたりしただけですよ」
うーん、これは今までの勉強とは違うスパルタ教育になってしまったのかも。
普通と言いつつ、僕の屋敷での勉強はかなり高度だから大変なんだよね。
でも、一週間もすれば慣れると思います。
すると、ヘロヘロになったブライトさんが話しかけてきました。
「あの、アレク様はこんな勉強を続けていたのですか?」
「僕の場合は、屋敷での勉強に加えてルーカスお兄様と共に王城でアカデミーの先生に教わっていました。勉強の一環として、いきなり官僚試験を受けさせられましたけど」
「れ、レベルが違い過ぎる……」
なんだかんだ言って、リズ達も勉強はキチンとやっていたもんね。
王城では常にテストの嵐だったし、学園では間違いなく上位に入る成績は取れると思います。
「ブライトさん、夕食後に少しお話を聞いても良いですか?」
「もちろんです。よろしくお願いします」
みんな疲れているので、少し休んでからの方が良いと思うのでまずはお風呂に入って夕食を食べましょう。
因みに四人の歓迎の意味もあるので少し豪華な食事になり、四人ではなくミカエルとブリットが大喜びしていました。
そして、夕食後にブライトさんから話を聞く事になったのだけど、辺境伯様とジンさんも一緒に聞いた方が良いということになり、スラちゃんとプリンと共に急遽お隣の辺境伯様の屋敷の応接室に移動します。
「すまんな、この地を治める辺境伯として情報を聞いた方が良いと思ってな。ジンも、副宰相として聞いていた方が良いだろうと判断した」
「いえ、色々と配慮までして貰っていますので……」
昨日も会っているはずだけど、大物貴族の迫力に押されてブライトさんはタジタジです。
辺境伯様のオーラは、僕とジンさんでは出せませんね。
時間も時間なので、さっそく話を聞く事に。
「現在、屋敷内は四人の兄に従う勢力に分かれています。そして、それぞれが背後に何かがついています。兄が、怪しげな男と何回も接触しているのを屋敷内で見ていました」
この辺は、王城で聞いた内容と同じです。
でも、屋敷内で怪しい人物を見たとなると、あまり良い状況とは言えません。
「屋敷内に怪しい人物がいるとなると、確かに怪しいといえよう。暗殺未遂などはあったか?」
「兄が外に出ると、暴漢に襲われたということがありました。その時は怪我で済みましたが、最初から殺すつもりはなかった雰囲気です」
「なるほど、警告の意味もあったのかもしてない。当主争いから降りろとな」
辺境伯様は、ブライトさんの話を聞いて顎に指を置いて何か考え始めました。
そして、おもむろに口を開きました。
「よし、こうしよう。デンバー男爵家の者が辺境伯領の冒険者ギルドで騒いだため、その者を辺境伯家の監視下に置くと」
「えっ?」
ブライトさんは辺境伯様の言葉の意味が分からなかったけど、僕とジンさんは直ぐに意味が分かりました。
スラちゃんとプリンも、状況を把握したみたいですね。
「なるほど、ブライトを辺境伯家の監視下に置く事で、デンバー男爵家が手出しできない状況にするのか。下手に手出しをすると、辺境伯家に喧嘩を売る事になるな」
「そういう事だ。アレク君の屋敷にいる分なら安全だし、冒険者活動する際は兵をつけさせよう。見た目でも、監視をしているとすればいいだろう」
ブライトさんも、辺境伯様の言葉の意味に気が付きました。
そして、辺境伯様に深く頭を下げました。
「ホーエンハイム辺境伯様、ご配慮頂きありがとうございます」
「気にするな。このくらい何でもない。大変だけど、ブライトも勉強を頑張るように」
これで、ブライトさんの安全も確保できるから、僕たちも安心です。
そして、辺境伯様経由で内務卿からデンバー男爵家に連絡が行くそうです。
でも、ブライトさんたちはもっと勉強が厳しくなるかもしれませんね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます