転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

八百九十四話 不穏な中での新人冒険者講習の開始

　午後は、久々に新人冒険者向けの講師をする事になりました。

　今日は、リズ達に加えてティナおばあさまとミカエル、ブリットもついてくるそうです。

　因みに、ジンさんもついてくるけどレイナさん達は屋敷でレイカちゃん達とお昼寝をするそうです。

　もちろんドラちゃんはお昼寝優先で、雲さんとマジカルラットたちもお昼寝している面々のところに残るそうです。

　ということで、再び冒険者ギルドに向かいました。

　ガヤガヤガヤ。

「あれ？　午前中は何もなかったのに、ギルド内が騒ついていますね」

「何があったんだ？　ちょっと話を聞いてみるか」

　ジンさんたちも、冒険者ギルド内がザワザワしているのを不思議に思っています。

　ちょうど受付にマリーさんがいたので、何があったかを聞いてみましょう。

　どっちにしても、講師を行うための受付もしないといけないですしね。

「マリーさん、受付をお願いします」

「では、全員の受付をしますので、冒険者カードを提出して下さい」

「「「はーい」」」

　先ずは普通に受付をするんだけど、何だかマリーさんの機嫌が悪いような。

　これは、ひょっとして聞いちゃいけないことなのかな？

　すると、逆にマリーさんの方から僕たちに話しかけてきました。

「ジン、アレク君、この後の新人冒険者向け講習で、自信過剰な集団がいるから気をつけてね」

「あっ、もしかしてこの騒めきもそいつらが原因か」

「そうなのよ。どうも、どこかの貴族の子弟らしく、さっき取り巻きを引き連れてやってきたのよ」

　もう、この時点で講習が面倒くさくなることが確定しました。

　冒険者登録をする時点で既に威張っていたらしく、自分勝手なことを言っていたそうです。

　冒険者も、離れたところからその集団を見ていたそうです。

　僕たちも最近自分勝手な貴族の相手をしていて大変さを知っているので、マリーさんも相手をしてきっと大変だったのでしょうね。

　そこで、ちょっと作戦を練ることにしました。

「どうする？　講師は俺かアレクが良いと思う。リズたちは補助だな」

「僕もそれが良いと思います。僕は、面倒臭い人の相手をするのも慣れていますので」

「実技には、私も参加するわ。ふふふ、どんな子なのかとっても楽しみだわ」

　あーあ、ティナおばあさまのやる気に火がついちゃった。

　僕もジンさんも、ふざけた人は終わったと思っちゃいました。

　相手が貴族だろうが、ティナおばあさまには関係ないもんね。

　ミカエルとブリットの側には、サンディとイヨがついてくれることになりました。

　スラちゃんは講師側で、プリンはミカエルの側にいます。

　近衛騎士も、四方に配置します。

　早速、講習が行われる部屋に入ります。

　ガラガラガラ。

「えっ？」

　僕たちが部屋に入ると、後ろにどーんと席を陣取っていた集団が目を見開くほどビックリしていました。

　どうも、僕たちが兵を連れて部屋に入ってきたのが原因っぽそうです。

　更に、リズとエレノアを見た取り巻きのボスっぽい男が聞いてないよって表情をしていました。

　どうも、どこかでリズとエレノアの姿を見たことがあるみたいですね。

　全員、年齢は僕と同じくらいです。

　おや？

　前の方に座っている男の子も、僕とリズの姿を見てビックリというか固まっています。

　何かあったのかな？

　他は町の子どもたちで、奉仕活動とかで会った子もいました。

　主に、スラちゃんに手を振っていますね。

　何はともあれ、自己紹介を始めましょう。

「時間だな。それでは、講習を始める。講師のAランク冒険者のジンだ」

「Dランク冒険者のアレクサンダーです。ジンさんとともに、今日の講師を務めます。このスライムは、スラちゃんです」

　スラちゃんが触手をふりふりすると、知り合いの町の子どももふりふりと手を振っています。

　とってもほっこりとする光景ですね。

　おや？

　後ろに陣取っている男の子の顔色が更に悪くなったけど、何かあったのかな？

　スラちゃんも見たことがあるらしいけど、一体どこで会ったんだろうか？