八百七十八話 いよいよピエロへの尋問当日

 そして、いよいよ破壊王によるデス料理本番当日になりました。

 今日は、王城に行かずに直接現地に向かいます。


「ふふふ、今日は腕がなるわね」

「ええ、思いっきりやりましょう」

「「はあ……」」


 やる気満々のレイナさんとカミラさんはともかくとして、僕とジンさんはどよーんとしていました。

 僕たちと同行するスラちゃんとプリンも、へんにゃりしていてハッキリ言ってやる気ゼロです。

 でも、とにかくやらないといけないので、僕たちは教皇国に向かいました。

 因みに、リズ達や他の面々は前回と同じく「絶対に一緒に行きたくない」という回答をしていました。

 うう、僕だって本音は一緒に行きたくないよ……

 陛下からは、「国際問題にするなよ」と釘を差されました。


「皆さま、お忙しいところお集まり頂き感謝申し上げます」

「教皇猊下におかれましても、お忙しいところ恐れ入ります」

「いやいや、今日はまさに正念場だ。私も尋問に立ち合おう」


 大教会に着くと、真剣な表情の教皇猊下が僕たちを出迎えてくれた。

 確かに今日はピエロの尋問の日だけど、教皇猊下までレイナさんとカミラさんの料理は見ない方が良い気がします。

 新しい世界に導かれる可能性がありますよ。

 とはいえ時間も限られているので、僕たちは馬車に乗ってピエロが拘束されている聖騎士の駐屯地に向かいます。

 因みに、前回僕たちと一緒に死刑囚でテストした際に立ち会った聖騎士は、今日一緒に行動するのを断固として拒否したそうです。


「ピエロの様子はどうですか?」

「相変わらずだ。食事は良く食べるし、睡眠もばっちりだ。自分勝手な言動も、ずっと止まらないでいる」


 ピエロは、相変わらず自分勝手な事をしているんだ。

 ピエロの仮面が無くなって全てをピエロの人格のせいにしているけど、こう聞くとどこまで演技をしているのか全く分からないです。

 口は凄い上手いらしいので、気をつけないといけないですね。


「闇ギルドの残党が襲撃をしかけるとか、そんなことはありましたか?」

「いや、全く無い。もちろん現地もだ。何人か残党は捕まえたが、そもそもピエロが捕まったこと自体知らないようだ」


 僕たちは拠点を奇襲してピエロを捕まえたけど、ある意味良い方向に動いているみたいです。

 ピエロを奪還するだけの戦力が残っているのかなとも思ったけど、それはなかったようです。

 馬車内では他にも色々な話をしたけど、カレン様の話も出てきました。


「次代の聖女候補生も、めきめきと力をつけてきました。この分なら、聖女様がご結婚されても何も問題ありません」

「カレン様は、自分の後継者をキッチリと育てると言っていました」

「聖女様は、責任のある方だ。自分が孤児出身という境遇もあるのに、誰にでも優しく接する」


 確か、新しい聖女様候補生も孤児院出身なんですよね。

 結構前に会ったことがあるけど、とても優しい人でした。

 そんなほっこりした気分で、僕たちは聖騎士の駐屯地に到着しました。


「教皇猊下に敬礼!」


 ザッ。


 流石は元聖騎士団のトップです。

 聖騎士が、綺麗な敬礼をしています。

 その中を、僕たちは牢屋のある施設に入っていきました。


 カツンカツン。


「地下に施設を作ってあるんですね」

「逃げられないようにしてあるのだ。こういうのは、出入り口を限定するに限る」


 地下牢の利点は、逃走のリスクが少なくなることです。

 しかもレンガなどで牢屋を囲っているので、土を掘る事自体無理です。

 こうした厳重な施設の中でも更に厳重な牢屋の中に、あのピエロが入っていました。

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