八百七十七話 冒険者ギルドの食堂に新しい人が
因みに、王妃様の元に渡った五匹のマジカルラットは、お茶会デビューしていた。
バスケットの中からだけも、お客さんに愛想を振る舞っていて上々の反応のようです。
ルカちゃんエドちゃんとルーカスお兄様の先輩マジカルラットから、色々な事を教わっているそうです。
ルカちゃんとエドちゃんは、元々マジカルラットをお世話していたので、一匹増えても全然問題ありません。
そんなマジカルラットのご飯を得るために、安息日の今日はみんなで辺境伯領の森に薬草を取りに行きます。
「頑張るぞー!」
「「「おー!」」」
ミカエルの掛け声に、ちびっ子達が元気よく声を上げています。
今日はルカちゃんとエドちゃんも薬草採取に参加するので、近衛騎士と共にティナおばあさまもいます。
そして、肝心のマジカルラットはというと、こんなところにいました。
「キュー」
「「「キュー!」」」
「グルル」
何と、飛竜のドラちゃんの背中に乗ってちょろちょろとしていました。
ドラちゃんも、普段からマジカルラットに鍛えられているので全然気にしていません。
冒険者ギルドにいる冒険者も、特に気にしていません。
ふわふわ。
「キュー、キュー」
ポッキーだけは、マジカルクラウドの雲ちゃんの上でぐーすかぴーって感じです。
雲ちゃんも、いつもの光景なので特に気にしていません。
ということで、さっそく森に向かって出発です。
「「「わあ、お花も咲いているよ!」」」
いつもの森に着くと、沢山の花がそこら中に咲き乱れていました。
夏に近づいているけど、とっても華やかですね。
そんな光景の中で、僕たちは薬草採取を始めます。
今日は珍しく新人冒険者はいないので、特にリズとスラちゃんは薬草採取に専念できます。
探索魔法を使っても周囲に危険もなく、安全もバッチリです。
一時間もあれば、大量に薬草を集められました。
そして、ミンナが薬草を採っている間はドラちゃんの特訓タイムです。
ひゅーん、ひゅーん。
「ガウッ、ガウッ!」
ドラちゃんは空を飛びながら雲ちゃんと追いかけっこをしているけど、小回りは圧倒的に雲ちゃんの方が上です。
まだまだ頑張らないと駄目ですね。
休憩を挟んでもう一時間頑張れば、当分大丈夫な薬草が集まりました。
そして冒険者ギルドに戻ってお楽しみの昼食ですが、実はいつもの食堂でちょっとした変化がありました。
「いらっしゃいませ」
「おー、新しい人だ!」
「「「ほんとーだ!」」」
食堂で受付をしているのは、いつものおばちゃんに加えてポニーテールの若い女性もいました。
更に、厨房にもおじさんだけでなく若い男性が料理を作っていました。
ちびっ子軍団は誰だろうって思っていたら、おばちゃんが答えてくれました。
因みに、僕とジンさんは答えを知っています。
「修行に行っていたあたしの息子が、嫁を連れて帰ってきたんだよ。ついでってことで、厨房機器も新しくしたんだよ」
「「「おー、そーなんだ!」」」
初めて知った事実に、ちびっ子軍団は大はしゃぎです。
とはいえ、他の冒険者も注文を待っているので早めに席に移動します。
席についている間も、ちびっ子軍団は接客をしているお嫁さんをじーっと見ています。
そして、出来上がった料理をお嫁さんが持ってきました。
「はい、おまちどうさま」
「「「わーい!」」」
ちびっ子軍団は、目の前に出されたお肉定食に大喜びです。
僕たちの前にも次々と料理が運ばれる中、お嫁さんがちょっとした質問をしました。
「あの、つかぬことをお聞きしますが、お義母さんがこのパーティには王族がいるけど他の冒険者と同じように接するようにと言われたのですが……」
「ふふ、そういうことですわね。公務ではないので、普通に接してくれると嬉しいですわよ」
ティナおばあさまがふふふと微笑みながら答えているけど、この時点でティナおばあさまは王族の関係者と思われていてもおかしくないですね。
というか、僕たちは普通に近衛騎士の護衛付きですし。
すると、ここでちびっ子軍団が元気よく手をあげました。
「僕、王子だよ!」
「僕も!」
「えっ、お、王子様?」
ルカちゃんとエドちゃんが手をあげてお嫁さんは物凄くビックリしているけど、僕たちだけでなくおばちゃんや周りにいる冒険者もうんうんと頷いています。
ここでエレノアが王女様でティナおばあさまが前王様の妹っていうと、お嫁さんのキャパシティーを超えそうなので黙っておきましょう。
因みに、何人かの冒険者は美人が食堂に現れてテンションが上がっていたようですが、人妻と知った瞬間テンションが急降下したそうです。
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