八百七十六話 強力な援軍?
エマさんとオリビアさんの結婚式は辺境伯領の五歳の祝いが終わってから行うので、まだまだ先です。
でも、ちょくちょくサギー伯爵領に行って現地の人との交流をしています。
そんな二人に、強力な援軍ができました。
「じゃあ、クリーム頑張ろう!」
「クッキーも頑張ってね」
「「キュー!」」
今年生まれたマジカルラットの子どものうち、なんと二匹に空間魔法の才能がありました。
クリーム色のクリームに、ブチ模様のクッキーです。
まだ魔法の練習中で、今日は僕の屋敷の庭でスラちゃんとプリンから魔法を教わっています。
中々の才能を持っていて、空間魔法を使いこなす日も近いかもしれません。
そして、メイちゃんリラちゃんにももう一匹加わって、二匹体制になっています。
ルカちゃんとエドちゃんにも、もう一匹加わる予定です。
「キュー!」
「グルル」
「「がんばれー!」
そして、ミカエルとブリットのマジカルラットはほぼ僕の屋敷全員のマジカルラットになっていて、今日も当たり前のようにドラちゃんを鍛えていました。
マジカルラット最強はポッキーとルーカスお兄様のマジカルラットだけど、僕の屋敷にずっといるマジカルラットもかなり強いです。
残念ながら、かけっこでも魔力操作でもドラちゃんがかなう相手ではありません。
頑張って強くなりましょう。
そして、今日僕の屋敷の庭に来ているレイカちゃんたちは、珍しいものを従魔にしていました。
「雲さーん、こっちだよー!」
ふわっ。
なんと、先日の薬草採取でマジカルクラウドを仲間にしていました。
まんま雲さんって呼んでいるけど、風と水の魔法は中々強力で自在に空を飛ぶことができます。
魔力が豊富な辺境伯領の森だからこそ、色々な魔物が現れます。
因みに、レイカちゃんたちは雲さんには乗れないけど、マジカルラットや蜘蛛のアマリリスは乗れるそうです。
「何だか、希少な魔物が集まってきたな。飛天虎にサンダーホークもいるからなあ」
「でも、最弱なのが飛竜ってのもある意味凄いですけど」
「あいつが強くなるのは、当分先だろう。マジカルクラウドにすら圧倒されるレベルだからな」
レイカちゃんたちを見守るジンさんも、残念ながらドラちゃんの評価は残念なものです。
普通の冒険者レベルには到達したけど、僕たちと一緒に行動するにはまだまだですね。
そして、とある準備ができたので、僕はプリンと一緒にバスケットを持って王城に向かいます。
「「「キュー」」」
「「わあ、沢山いるー!」」
「おー」
「ガウッ」
王城の勉強部屋に行ってバスケットの中身を見せると、ちびっ子王族が大興奮しています。
実は、バスケットの中には六匹のマジカルラットが入っています。
一匹は、予定通りルカちゃんとエドちゃんのところに行きます。
さっそく二人は今いるマジカルラットと同じ、キンクマハムスターに似ているのを選びました。
大きさが少し違うので、似た毛色とはいっても見分けることができます。
そして、残り五匹のマジカルラットはこの人の手に渡りました。
「ふふふ、とっても可愛いわね。みんなでこの王城に巣食う、悪いネズミを見つけ出すのよ」
「「「「「キュッ!」」」」」
何と五匹のマジカルラットの飼い主は、他ならぬ王妃様でした。
元からマジカルラットを手に入れる計画はあったのですが、今年生まれたマジカルラットが乳離れするのを待っていました。
因みに、このマジカルラット五匹以外は昨年生まれたマジカルラットです。
五匹のマジカルラットは王妃様に綺麗に敬礼ポーズをしているけど、ある意味この国の最高権力者の手に渡るとなるととんでもないことが起きそうです。
というのも、王妃様は先日の三馬鹿貴族の件もあってか、再び馬鹿貴族が出てきたのをかなり気にしていました。
そして、早めに王妃様専用のマジカルラット部隊を作ることになりました。
とはいえまだ小さいので、今は訓練を続けることになります。
因みに、アリア様にはねこちゃんこと飛天虎がいるので大丈夫です。
そして、王妃様がもう一言。
「アレク君、ドラゴン部隊とかあっても良さそうね」
「そ、そうですね……」
ニヤリとする王妃様を見て、僕は空笑いするしかありませんでした。
とはいえまだ飛竜の子どもは小さいし、たまに来る母親の飛竜に相談ですね。
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