八百七十五話 みんなが協力することに

 保育部屋設置に関して理不尽なクレームがはいったので、内務卿だけでなくこの人たちも計画に参加する事になりました。


「よく考えれば、職員の福利厚生を考えるのは私たちの仕事でもありますわ」

「王城で働く職員に快適な環境を提供して、生産性を上げないといけないですわね」

「あー」


 女性がメインに関わることなので、王妃様とアリア様が保育部屋の件に関わることになった。

 よちよちと歩き始めたエリちゃんもいるので、どういうものが必要なのか現場を見て確認するそうです。

 もちろん、ルカちゃんとエドちゃんたちも保育部屋を見に行くそうです。

 更に、この人たちも動き始めました。


「じゃあ、どういうものがあったらなあって希望を聞けば良いんだね」

「人に話を聞くのはお任せなの」


 特別調査部隊が、各部署に行って要望を集めることになりました。

 今回の保育部屋に関しても内務卿の直属の部下の希望があったので、他の人も何か希望があるのではと考えたみたいです。

 リズたちだけでなく、各部署の上司も部下の要望を聞くみたいです。

 今までもやってこなかった訳じゃないけど、あの暴走した三人がいるから念入りにやっちゃいましょうということになりました。

 貴族の控室の件も、担当部署が話を聞くそうです。

 組織が大きくなると中々動きにくいけど、僕たちは小回りが効くのでこういう時に威力を発揮します。

 各部署に不審者関連の捜索を行っているので、リズたちも勝手がわかっています。


「データ分析だったらお任せ下さい。こういうのは得意です」

「それこそ、我々の仕事ですので。王城全体を良くしようとする、素晴らしい仕事です」


 ナッシュさんとスタンリーさんも、積極的に協力してくれています。

 こういう仕事こそ、宰相執務室のやることだと言ってくれています。

 あの三人の貴族の発言が、色々な人に火をつけたみたいですね。


「それで、私の仕事が増えるってことか……」

「ほらほら、部下がやる気を見せているんだ。上司も頑張らないと」

「今回は儂も手伝うことにする。正直なところ、陛下直属でも問題ない仕事だ」


 苦笑いしている宰相に、シーラさんがバシバシと突っ込んでいました。

 グロスター侯爵のおじい様も手伝ってくれるので、宰相だけ負担増になる訳ではありません。

 もちろん、僕とジンさんもやる気満々です。


「じゃあ、保育部屋の方に顔を出してきますね。何かやることはありますか?」

「特にないぞ。ああ、王妃様から要望があったら聞いてきてくれ」


 ということで、僕はプリンと一緒に王城一階の保育部屋の建設現場に向かいました。

 保育部屋では、やる気満々の王妃様とアリア様に加えて、ちびっ子軍団も来ていました。


「あっ、お兄ちゃんも来たんだ!」

「様子を見に来たんだよ」


 今日は王城で勉強する日で、ミカエルたちは勉強を終えてからこちらに来ていました。

 あれが欲しいとかこれはいらないとか、結構色々と言っていますね。

 普段子ども部屋で一緒にいるのもあるのでしょう。


「うーん、おむつを交換する台もあってもいいかも」

「キュー」


 子どもたちの引率で来ているルシアさんとポッキーも、現場にいる人たちに意見を言っています。

 中々良い感じになってきたと思ったら、またもや馬鹿が現れました。


「おい、ここは俺たちの控室にしろと言ったじゃないか!」

「何で工事が進んでいるんだ!」

「言うことを聞かないと、然るべきところに言うぞ!」


 またもや三馬鹿貴族が、保育部屋の建設現場に乗り込んできました。

 ちびっ子軍団とルシアさん、それにポッキーは「誰この人たち?」って表情をしています。

 そんな中、笑顔のまま三馬鹿貴族に近づくおふたりが。


「ふふ、然るべきところとは一体何でしょうか?」

「私達にも、詳しく教えて頂きたいですわね」

「「「ヒイィィィ……」」」


 あーあ、ある意味この国で一番偉い人に喧嘩を売っちゃった。

 何で、部屋に誰がいるかを確認せずに暴言を放つのだろうか。

 頭に血が上って、何にも確認しなかったのでしょうね。

 もちろん、お仕事中の王妃様とアリア様を恫喝したのもあるので、三馬鹿貴族は近衛騎士に脇を抱えられてドナドナされちゃいました。


「エリちゃんも、お馬鹿さんには気をつけましょうね」

「あう!」

「ガゥ!」


 僕がエリちゃんに注意するようにといったら、ねこちゃんとともに元気よく手を上げていました。

 本当になんだかなぁ。

 そして、三馬鹿貴族を調べると、とあることが判明しました。


「前にスラちゃんが指摘した、要注意貴族の中にリストアップされていたぞ」

「ということは、あの自分の意見を強硬に言って上司を殴った貴族と同じ仲間だったんですね。だったら、あのお馬鹿な行動も理解できました」

「しかも、職場を抜けて文句を言いに行ったらしいぞ。しかも、上司とトラブルも起こしていたそうだ」


 宰相執務室に戻ると宰相から話があったけど、とっても残念な内容だった。

 どうして、自分勝手な行動をするんでしょうね。

 ちなみに三馬鹿貴族は一週間の停職で、またもや屈強なおばちゃんが控えている総務課に異動になりました。

 総務課のおばちゃん曰く、「いくらでも相手にする」と頼もしい返事があったそうです。

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