八百六十七話 遂にあの方法を検証する事に
何だかんだで、無事に新体制での業務が始まりました。
ある程度僕が教えつつ、ローリーさんや他の職員もナッシュさんとスタンリーさんに業務を教えています。
二人ともとても優秀なので、どんどんと業務を覚えていきました。
そして、宰相執務室で欠かせないのが偉い人と会うことです。
ということで、今日は教皇猊下とカレン様がやってくるので紹介する事になりました。
宰相とジンさんも一緒に会議に参加して、カレン様が大好きなミカエルとブリットも今日は王城で勉強しているので後で会う予定です。
ではでは、さっそく紹介をしましょう。
「教皇猊下、カレン様、新しく配属になったナッシュさんと、スタンリーさんです」
僕が教皇猊下とカレン様に二人を紹介すると、教皇猊下はふむふむといった表情をしていた。
それに対して、カレン様はニコリと二人に微笑んでいました。
「教皇猊下、聖女様、ナッシュ・バイツと申します。お会いでき、大変光栄です」
「教皇猊下、聖女様、スタンリーと申します。どうぞ、宜しくお願いいたします」
「教皇を仰せつかっているヤークスだ。ふたりとも、中々の面構えだな」
「当代の聖女を仰せつかっております、カレンと申します。皆さま、宜しくお願いいたします」
とても礼儀正しい二人の挨拶に、教皇猊下とカレン様も笑顔で対応します。
無事に自己紹介も終わったところで、会議が始まりました。
外交面や防衛について話し終わった所で、いよいよピエロの話になりました。
といっても、前回聞いた内容から大きな変更点はありませんでした。
「相変わらずピエロは自分勝手な主張を続けています。そのため、聴取にもかなりの労力を使っています」
「うーん、奴は詭弁者の様に振る舞っているのか。さて、どのようにすれば良いものか」
教皇猊下の報告を聞いた陛下も、思わず唸ってしまいました。
何とかして、ピエロから有効な供述を引き出さないといけない。
みんなで悩んでいたところ、教皇猊下がとあることを質問してきました。
「陛下、そのかなり強力な聴取方法があるとお聞きしましたが……」
ざわっ。
王国側が一斉にざわついてしまいました。
あの方法は確かに有効かもしれないけど、下手をするとその人の人格にも大きなダメージを与えてしまう。
何のことだか分からないナッシュさんとスタンリーさんはしょうがないけど、特に僕とジンさんはかなり考え込んでしまいました。
そこで、教皇猊下はあることを提案しました。
「教皇国に、供述を拒んではいるが死刑が決まっているものがおります。そのものに一度その聴取を試してみては如何でしょうか?」
「うーん、仕方ない。余の権限で例の方法で尋問を行うことを許可する。日程は、教皇国と調整を行おう」
「陛下のご決断に感謝申し上げます」
こうして、破壊王によるデス料理がその死刑囚に振る舞われる事になってしまった。
うん、レイナさんとカミラさんはお仕事だから張り切って料理をするだろうな。
僕とジンさんは容易にこの状況が想像できたので、かなり気が重くなってしまった。
とはいえ決まってしまったことなので、後でレイナさんとカミラさんに説明しないと。
この後は担当者ごとに打ち合わせを行うので、僕たちとカレン様は宰相執務室に向かいました。
すると、勉強を終えたちびっ子軍団が宰相執務室に来ていました。
ミカエルとブリットだけでなく、その他の子ども達も一斉にカレン様に駆け寄って行きました。
「カレンちゃん!」
「カレン様!」
「「「カレン様!」」」
「わっと。ふふ、みんな大きくなりましたね」
カレン様は、笑顔で子ども達を抱きしめます。
みんなカレン様が大好きだから、久々に会えて嬉しいみたいですね。
そして、こっちでも笑顔の人たちがいました。
「ナッシュ君、問題なくできたの? 私、凄く心配だったのよ」
「大丈夫ですよ、ローリー先輩。全く問題なくできていますよ」
「うーん、本当かしら?」
ローリーさんは既に教皇猊下とカレン様と会った事があるので人となりは分かっているけど、それでもナッシュさんの事が心配で堪らなかったみたいです。
すると、熱々なやり取りを笑顔で見ていたカレン様が、二人の関係性に気がついたみたいです。
「あら、お二人は良い関係みたいですね」
「「「ラブラブだよ!」」」
「「あっ……」」
二人が周りの状況に気がついた時には既に時おそし、ちびっ子軍団も一緒になって盛り上がっていました。
とはいえ、悪いことではないので全く問題ないですね。
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